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13日発表の日銀短観にも注意か

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 内閣府と財務省が11日に発表した10~12月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス4.8と、3四半期連続のプラスとなった。製造業がプラス5.7、非製造業もプラス4.4となった。

「法人企業景気予測調査(令和5年10~12月期調査)結果の概要」 https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/results/1c202303.pdf

 このなかで雇用については、大企業は2011年9末以降50期連続の「不足気味」超となっているとか。中堅企業、中小企業はいずれも「不足気味」超となっていた。

 13日には日銀短観が発表される。このなかで大企業製造業DIは、自動車生産の回復などを背景に3期連続で改善するという見方となっている。

 むろん、大企業製造業DIなどを注視する必要があるが、18日、19日の日銀の金融政策決定会合を控え、むしろ「雇用」や「企業の物価見通し」も注目する必要があるかもしれない。

 12月19日の会合でマイナス金利政策そのものを解除する可能性は現状は低いとみている。しかし、日銀が年末にチャレンジングなことをしてくる可能性は否定できない。

 いまのところ来年4月にマイナス金利政策を含めた金融政策の正常化を行うとの見方は強い。しかし、先日の氷見野日銀副総裁や植田総裁の発言を受けて、市場ではその見方を前倒ししてくる可能性が出てきた。

 もし1月に正常化を行うという前提に立てば、その地ならしを12月19日に行ってきてもおかしくはない。

 ただし、政治が現状かなり不安定となっていることで、それに対する不透明感を強める可能性もある。ただし、今回の動きを含め、日銀がそれなりのフリーハンドを得つつあるとの見方もある。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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