日銀の次の一手は、YCC撤廃か、長期金利上限引き上げか、それとも何もせず長期金利の1%上限死守か
次回の日銀の金融政策決定会合は10月30、31日に開催される。
7月と9月の会合前には、それぞれ内田副総裁と植田総裁のインタビュー記事が掲載されていた。そうなると今回は氷見野副総裁の出番となる、のかどうかはわからないが、何かしら日銀が動く、もしくは動かざるを得なくなる可能性がある。
次回会合では展望レポートが発表されることで、物価や経済の見通し修正に合わせた金融政策の修正があるのではないかとの観測もある。
ここにきて米長期金利の上昇や国内物価の高止まりなどを受けて、日本の長期金利は上昇してきた。10年372回債の利回りは0.8%台と2013年8月以来の水準を付けており、日銀の異次元緩和が開始されたのが2013年4月であり、その時期の水準に戻してきている。
この長期金利の上昇に対して、日銀は10年国債の発行日に5年超10年以下の国債買入を追加し、さらに6日に期間5年の共通担保資金供給オペレーションを実施した。
今回は指値オペは1.0%でオファーしており、そこまでは日銀はあくまで長期金利の上昇ピッチを抑制するかのような動きとなっている。
問題は現在0.8%近辺の長期金利が月末に向けて1.0%に接近してきた場合である。その場合の選択肢としては3つある。
ひとつは1.0%を絶対防衛線として、ここで長期金利の上昇を指値オペを駆使して食い止める。そうなると再び日銀は10年カレントを発行額買いあげることにもなりかねず、量的緩和強化と連想されることで円安・物価高要因となりかねない。
もうひとつは上限を1.0%から1.5%あたりに引き上げて、再び「時を稼ぐ」手法を取ることである。解散総選挙を岸田政権がもし行うとすれば、減税を含めた経済対策を実施することも予想され、日銀が緩和方向からの転換を政権側が嫌がるであろう。このためこれで時を稼ぐとか。
そして最後に、イールドカーブコントロールそのものを撤廃することである。これが至極当然で真っ当なことなのだが、なぜかいまの日銀はこれを強くためらっている。
長期金利は日銀の会議室で決めるべきものでなく、市場で形成されるべきものである。その機能をなくしてしまっては日本の長期金利は意味をもたなくなり、債券市場参加者による金利形成機能そのものを損なうこととなる。