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日銀の正常化に向けたロードマップ予想、7月利上げ予想を6月に前倒し

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 13日にイエレン米財務長官は、主要国の為替介入について「過剰な変動があれば実施することは可能だが、もっと根本的な政策の変更がない場合はいつも機能するとは限らない」と述べた。

 これは日本を名指ししていたわけではないが、4月29日と5月2日の為替介入とみられる動きに対してのコメントと捉えて良いかと思う。

 これにより為替介入がやりづらくなるとともに、「根本的な政策の変更」、つまり日銀による金融政策の正常化に向けて動くことが求められたといえる。

 日銀の植田総裁は5月7日の夕方に、首相官邸で岸田首相と会談し、為替が経済物価に与える影響などについて議論した。このあたりから日銀の様相に大きな変化が生じていた。  

 何もなかったはずの4月26日の金融政策決定会合の主な意見では、利下げや国債買入減額といった意見が多くみられていた。

 5月13日には国債買い入れで期間5年超10年以下対象が4250億円と前回の4月24日の4750億円から500億円減額したのである。3月に日銀がイールドカーブ・コントロールを解除してから初めての買い入れ減額となった。

 これらの動きを踏まえ、国内景気の急激な悪化、大地震などが起きない前提で、今後、日銀が金融政策の正常化に向けて歩みを進めると予想している。

 6月13日、14日の金融政策決定会合では国債買入減額を正式に決めるとの見方が多くなっている。しかし、それだけではやはりインパクトが足りない。ここで0.25%の利上げを決定する可能性がある。

 私は今年は7月と12月に0.25%の利上げを当初予想していた。しかしそれを6月と9月に前倒ししたい。可能であれば最難関とされる0.50%から0.75%への利上げを12月にも実施する。

 国債の買入減額については4月からの発行額減少分は早めに減額し、その後は慎重に進めていくとみている。またETFの売却についても年内に議論を進める必要もある。

 米国では年末に向けて利下げのタイミングを探ると予想している。ただし米大統領選挙による影響が予想しづらい。

 日銀の「利上げ」については米国が反対することは考えづらい。これによって、物価に応じた金融政策の正常化を進めるとともに、円安の動きが多少なり是正されることも期待したい。

 ただし、政治的圧力も強まる恐れもある0.75%への利上げが大きなハードルとなることは確かではなかろうか。むろん0.25%の利上げですら反対してくる政治家もいるようだが、その圧力はかなり後退してきているのも確かなのではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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