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物価の優等生だった卵に何がおきているのか、卵の品薄・価格高騰という「エッグショック」が発生

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 これまで卵は「物価の優等生」と言われてきた。卵の価格は世間の情勢にかかわらず不変だという印象が強く持たれていた。しかし、その物価の優等生に異変がおきている。

 飼料価格の高騰に加え、高病原性鳥インフルエンザによる供給減も加わって卵の価格が高騰している。

 鶏卵卸大手の「JA全農たまご」がホームページで公表している最新の相場情報(3月8日9時発表)を見ると、東京におけるMサイズの卸値は1kg当たり337円で、1年前は195円となっていた。

「最新の相場情報 東京の月別の推移」

https://www.jz-tamago.co.jp/business/souba/monthly/

 「午後に入荷した卵が翌朝には種類によっては売り切れ、品薄状態が続いている」(都内のスーパー)という(8日付日本経済新聞)。

 さらに外食産業では「卵メニュー」の休止・制限といった動きが相次いでいる。上場する外食主要100社において、2023年に入り卵メニューの休止・休売に踏み切った企業は、3月5日時点で少なくとも18社に上ることが分かった(8日付時事通信)。

 以前に木材価格の上昇を受け「ウッドショック」が発生したが、今度は卵の価格高騰と品不足が重なって「エッグショック」が発生した。

 物価の優等生、つまりはデフレの象徴ともいえた卵の価格に異変が起きていること自体、日本の物価の基調そのものに大きな変化が訪れているということの査証ともなるのではなかろうか。安くて当然といった常識が今後は通用しなくなってくる可能性がある。つまりそれは消費者の物価感そのものを変化させることにもなろう。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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