令和臨調が政府・日銀の共同声明に関する提言を発表
令和国民会議(令和臨調)は30日、政府・日銀の共同声明に関する提言を発表した。日銀の金融政策を柔軟化するため、異次元緩和の象徴となっている2%の物価目標を長期的な目標に据えることを提案した(30日付日本経済新聞)。
令和国民会議は、経済界、労働界、学識者などの有志が集まり、日本社会と民主主義の持続可能性の実現を目指す任意の組織。
今回の提言は財政・社会保障部会の翁百合・日本総合研究所理事長、平野信行・三菱UFJ銀行特別顧問らがとりまとめたとされる。
運営幹事のメンバーには、サントリーホールディングスの新浪剛史社長も名を連ねている。
この新浪剛史氏は、ロイターとのインタビューで、日銀の金融政策に関して「緩和を続ける状況ではない」と指摘し、「日銀の次期総裁には長短金利操作解除を含めた金融緩和終了のロードマップを示してほしい」と述べていた(24日付ロイター)。
この記事を読んで、やっと実業界からも現在の日銀の政策に疑問を持つ声が出てきたとみていたが、今度は令和臨調が政府・日銀の共同声明に関する提言を発表したのである。
日銀の共同声明に関する提言といえば、日銀か長期金利の変動幅を引き上げた12月20日の3日前の17日、岸田政権が安定的な経済成長を実現するための政府と日銀の役割を定めた共同声明を初めて改定する方針を固めたことが、複数の政府関係者への取材で分かったと共同通信が報じていた。
その後、岸田文雄首相は1月26日の衆院本会議で、政府・日銀の共同声明見直しについて、日銀の新体制が決定していない段階での言及は控えるべきとの認識を示した。つまり日銀の正副総裁が替わって、新体制となったのちは検討する可能性が高いともいえる。そのたたき台を令和臨調が出してきたともいえる。
新しい共同声明の骨子案には、1.政府・日銀の共通目標に賃金上昇も明記。2.政府は潜在成長率を高め持続可能な財政構造を確立する。3.日銀は物価2%目標を長期的に目指す。4.政府・日銀の連携を定期的に検証・開示する――の4点を盛り込んだ(30日付日本経済新聞)。
物価2%目標を長期的に目指すことで、日銀の金融政策を柔軟化するとしているが、こちらについては具体的な言及はなかった。ただしこれは現在の頑なな姿勢に対して疑問を呈したものとも言えそうである。
とりまとめにかかわっていた翁百合・日本総合研究所理事長は次期、日銀副総裁の候補でもある。翁氏が副総裁となれば、こういった取り組みもやりやすくなるのではなかろうか。