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円安加速。日銀の姿勢変化なければ、ドル円は140円も141円も142円も通過点に過ぎなくなる

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 6日にオーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利を通常の2倍となる0.5%の引き上げを決めたことをきっかけに、円安が加速。ドル円は141円をあっさり抜けて142円に迫る勢いとなっている。

 オーストラリアの大幅利上げを受けて、8日の欧州中央銀行(ECB)の理事会でも、大幅な利上げを決定するのではとの思惑も広がり、東京時間の米10年債利回りも上昇してきた。

 ドル円はオーストラリア準備銀行の利上げを受けて、6日の14時あたりから上昇基調となり、15時前に141円を突破した。米10年債利回りは3.27%と休み前の3.19%から大きく上昇しており、その後もドル円は上昇し続け、141円70銭台と142円に接近してきた。

 日銀が頑なに政策修正をしないとなれば、欧米との金利差はますます拡大することになり、金利差によるドル買い円売りが入りやすくなる。当然、それを受けての仕掛け的な動きも入っていよう。

 ドル円が140円台に上昇したのは1998年8月以来となっていた。その1998年の様子を確認すると6月11日には144円台、15日に146円台に上昇してきた。そして17日に日米協調介入が実施されて、ドル円は136円台にまで下落(円高ドル安)したのである。

 今回についてはバイデン政権の最大の課題が物価高抑制となっていることもあり、むしろ円安ドル高を歓迎していることもあり、協調介入については1998年に比べてかなり低い。円安ドル高の大きな原因が日銀の緩和政策堅持にある限り、少なくともこちらをあらためることがまず先決となろう。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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