円安が加速しドル円138円台、ユーロドルはパリティ割れ、利上げをためらう国と積極的な国の差が浮き彫り
14日の東京時間の外為市場でドル円は一時138円台を付けてきた。138円台は1998年9月以来およそ24年ぶりとなる。
13日に発表された6月の米消費者物価指数は前年同月比の伸び率が9.1%と1981年11月の同9.6%以来、およそ40年半ぶりの高い伸びとなった。これを受けて7月26。27日に開催されるFOMCでの利上げ幅が1%に拡大するとの観測が強まってきた。
13日にはカナダ銀行(中央銀行)が、政策金利である翌日物金利の誘導目標を1%引き上げ、2.5%とした。1%の幅での利上げは1998年以来初めてとなる。これを受けて米国での1%の利上げが連想された可能性もある。
ECBがリセッション懸念で利上げに慎重かとの見方もあり、FRBとECBの利上げのスピード感の違いも意識され、欧米の金利差が広がるとの見方が強まった。一時、1ユーロが1ドルを下回るいわゆるパリティ(等価)割れとなった。これは2002年12月以来、およそ20年ぶりとなる。
そして日銀である。こちらは頑として非常時対応の異次元緩和を続けるとしている。利上げのスピード感どころか、金融政策の方向性が真逆となっている。その意味では、まだ138円あたりなのかとの印象すらある。今後は140円が視野に入ってくることが予想される。
円安は日本経済にとってプラスとの見方もあるが、それは一部の輸出企業に限ってのこととなろう。
それでなくても日銀が12日に発表した6月の企業物価指数は、2020年を平均100とした水準で113.8となり、比較可能な1980年以降で過去最高となっていた。伸び率は前の年の同じ月と比べて9.2%の上昇となり、16か月連続で上昇した。
オイルショックの影響があった1980年12月の10.4%以来の歴史的な高水準となった。この主たる要因は円安である。円安が記録的な物価上昇を招いていることは、これを集計した日銀が最も理解しているはずなのだが。