ドル円は137円台をつけ24年ぶりの円安に。仕掛け的な動きの背景に、日銀支店長会議の総裁挨拶も
11日の外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1ドル137円台前半と1998年9月以来およそ24年ぶりの円安ドル高水準を付けた。
8日の米雇用統計を受けて米長期金利が3%台に載せてきたことから、日米の長期金利の差が拡大し、これを受けての円安という側面はある。
東京株式市場が上昇し、ここにきて原油先物価格が切り返すなどしたことで、リスク回避の反動による円安という側面もある。
しかし、今回の円安は、ドルに対してだけでなくユーロに対しても同様であり、その動きそのものからも仕掛け的な動きであった。同時に債券先物に対しても売り仕掛けを行っている。債券先物9月限はあっさりと139円を割り込んだ。
参院選で自民党が圧勝したことでの思惑敵な仕掛けが入りやすかった。そしてひとつのきっかけとして日銀支店長会議の総裁挨拶があった可能性がある。
日銀の黒田総裁は11日の日銀支店長会議で、下記のようにこれまでの発言を繰り返した。これは頑なな緩和政策を続けるということを示したものであり、これを受けて、政策修正を促すかのような仕掛けが入った可能性がある。
「金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。」(支店長会議総裁開会挨拶要旨より)