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5月の全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比プラス2.1%

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 24日に5月の全国消費者物価指数が発表された。総合指数は前年同月比でプラス2.5%、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合指数は前年同月比でプラス2.1%、 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は前年同月比でプラス0.8%となった。

 これはすべて4月の前年同月比と同じとなった。これはこれで珍しい。結果として物価は高止まりしている。

 日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合指数は、物価目標の2%を2か月連続で超えてきた。2%超えは消費税の増税の影響があった2015年3月の2.2%以来、消費税の影響のあった年を除くと2008年10月の2.3%以来となる。

 エネルギー全体で前年同月比17.1%の上昇となったが、寄与度は4月の1.38から1.26と幾分か低下した。

 ガソリンは12.1%と前月の15.7%の上昇から伸び率が鈍化した。前年同月に伸びていた反動とともに、政府の補助金の影響が出ていたとみられる。

 生鮮食品を除く食料は前年同月比2.7%の上昇となり、4月の2.6%の上昇から上昇幅が小幅ながら拡大した。全体の総合指数を0.60%押し上げた。食料品は4月からは値上げラッシュが続いている。

 原油先物価格は一時120ドル台を付けていたがここにきて低下傾向となり、23日は104ドル台となっている。

 日銀の物価目標の2%を2か月連続で達成した。しかし、日銀はエネルギー価格や原材料価格の上昇による影響が大きく一時的だとして、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数のほうを重視しているかにみえる。

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は前年同月比でプラス0.8%と2%には届かないが、日銀は物価の目標を修正したわけではない。

 ここにきて原油先物価格などをみると物価の押し上げ要因がひとまず後退したかにみえる。しかし、ここでピークアウトして物価上昇が一時的になるとの見方も後退しており、物価の高止まりは続くものと予想される。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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