ロシア国債のデフォルトを認定か。猶予期間中の一部利子が支払われなかったことを問題視
世界の主要金融機関で構成するクレジットデリバティブ決定委員会は1日、ロシアのドル建て国債の利払いに不履行が生じたとの判断を示した。30日間の猶予期間中に完了した元利金の支払いを巡り、当初の期日から遅れた分の利息が上乗せされなかったのは不払いにあたるとの投資家の主張を認めた。事実上、デフォルト(債務不履行)となる見通しだ(2日付日本経済新聞)。
対象となったのは4月4日が償還日だったロシア国債。欧米の制裁で元利金を当初支払えなかったものの、最終的に猶予期間中に投資家に渡りデフォルトは避けられたとみられていた。ロシア財務省は4月4日に期限を迎えたドル建て国債の利払いと元本償還について、約6.5億ドル(約840億円)をドルで支払ったと発表していた。だが委員会は一部の保有者に遅延分の金利が払われなかったことを問題視した。
クレジットデリバティブ決定委員会は、30日間の猶予期間中に完了した元利金の支払いを巡り、当初の期日から遅れた分の利息が上乗せされなかったのは不払いにあたるとの投資家の主張を認めた。(2日付日本経済新聞)。
EU=ヨーロッパ連合の要請に応じて、4月15日までに主要格付会社はいずれも、ロシアの格付け業務を停止してしまった。通常、主要格付会社がデフォルトの格付けをすることで、デフォルトと認識されるが、それができなくなってしまった。このため、クレジットデリバティブ決定委員会(以前はISDAの元にある委員会であったが、2018年からISDAは事務局の役割をおりていて現在は関わっていない)の判断が待たれていた。
今回、クレジットデリバティブ決定委員会は、支払いの不履行が発生したかとの投資家の質問に対し「発生した」との決定文を公表した。これにより事実上、デフォルト(債務不履行)となる。
過去の国家破綻と異なり、支払う意思や余力があるなかで債務不履行となれば異例。ロシア国債はルーブル建てでは1998年の財政危機時にデフォルトに陥ったことがある(ルーブル危機)。この際のロシアの通貨危機はヘッジファンドにも影響を及ぼし、とりわけノーベル賞受賞者が設立に関与したLTCMが1998年9月に破綻に追い込まれた。
今回は外貨建てでデフォルトとなり、外貨建てでのデフォルトはロシア革命直後に債務不払いを宣言した1918年以来となる。
すでに投資家はロシアの債務不履行を想定していることで、影響は限定的とみられている。しかし、デフォルトが現実化したことで日本の投資家を含め、影響が出ることも予想される。
また、ロシアにとっては戦費調達に支障が出ることが予想される。