米国の物価動向も気になるが、中国の物価の状況が日本と酷似していた
米労働省が12日に発表した2021年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が7.0%と39年半ぶりに7%台に達した。これは約39年ぶりの高水準だった11月の6.8%からさらに加速し、1982年6月の7.1%以来の強さとなった。
予想以上に物価の高水準が続いており、FRBはテーパリング後の利上げ、さらにはバランスシートの縮小の削減に向けて準備を進めるものと予想されている。
米国のバイデン大統領は消費者物価指数公表後に声明を出し、「物価の伸びは依然過度に高い」とし、政権による一段の取り組みが必要と言明した。
今年は米国の物価動向も注目材料となるが、ここにきての中国の物価の動向がどうも日本と酷似しつつあるようで、こちらの動向も気になる。
中国の国家統計局が12日発表した中国の2021年の消費者物価指数上昇率が0.9%と、2009年以来12年ぶりの低水準だったと13日の日本経済新聞が報じた。政府目標の3%前後を大きく下回っていた。
ところがこれに対して中国の卸売物価指数の上昇率は8.1%と、1995年以来26年ぶりの高水準だったのである。
この記事をみて、どこかで見たことがあると感じた。昨年11月の日本の消費者物価指数が前年比プラス0.5%に対し、企業物価指数は前年比でプラス9.0%となっていたのである。この企業物価と消費者物価の乖離は中国でも起きていた。
日経新聞によると中国の物価において、値上がりが川下まで広がらない主因は、雇用や所得の改善の遅れにあるとしている。さらに節約志向も強く、消費現場に近いサービス業を中心に資源高のしわ寄せが行っている。
これは日本でも同様であると思われる。
中国人民銀行(中央銀行)は12月20日、銀行が貸し出す際の指標となる政策金利「最優遇貸出金利(LPR)」の1年物の金利を0.05ポイント引き下げて3.8%にした。利下げは2020年4月以来1年8か月ぶりとなる。
これは経済の先行き状況などをみてのものであったと思われるが、消費者物価指数の低迷もその要因のひとつとなっていた可能性がある。