Yahoo!ニュース

2021年の金融市場を振り返る(1月~3月)

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

2021年1月

 6日に米国大統領選でのドナルド・トランプの敗北を認めない支持者が、ジョー・バイデンを次期大統領に正式に指名しようとした合衆国議会を襲撃。民主主義を揺るがす重大事件に。

 7日、政府は東京など1都3県へ緊急事態宣言を出すことを決めた。13日には大阪、兵庫、京都の3府県のほか、愛知と岐阜、それに福岡、栃木の合わせて7府県を対象に緊急事態宣言を出した。

 14日、米国のバイデン次期大統領は1.9兆ドル(約200兆円)規模の新たな新型コロナウイルス対策案を発表した。

 15日に金融政策の柱である長期金利操作の運用見直し案が日銀内に浮上していることが分かったと時事通信が報じた。マイナス0.2%からプラス0.2%程度に抑えてきた金利の変動幅を拡大する可能性がある。

 20日、ジョー・バイデン(民主党)が46代目のアメリカ大統領に就任。

 21日、政府は日銀審議委員に専修大教授の野口旭氏(63)を充てる方針を発表。野口旭氏はいわゆるリフレ派。

 25日に米上院はジャネット・イエレン前FRB議長(74)が財務長官に就く人事を、超党派の賛成多数で承認した。

 27日の米国株式市場は久しぶりに大幅な下落となったが、そのきっかけのが、「ゲームストップ」という株価の動きにあった。

2月

 1日、 ミャンマー軍が軍事クーデターで政権を掌握。

 8日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、一時2万9000円台を回復。終値ベースでは1990年8月以来、30年6カ月ぶりとなる。

 15日に東京株式市場で日経平均は1990年8月以来の3万円台回復となった。

 15日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の3月物は一時1バレル60ドル台に乗せてきた。

25日に米10年債利回りは1.61%に上昇。

3月

 5日の衆議院の財務金融委員会で、日銀の黒田総裁が、長期金利の変動幅について「点検」中で当然、議論になると思うが、私自身は、変動の幅を大きく拡大することが必要とも適当とも思っていないと述べた。

 8日の雨宮副総裁のオンラインセミナー後の質疑応答では、5日の黒田総裁の発言について「(長期金利の変動幅拡大の是非について)点検の中で議論になると前置きした上で、自身の考え方として発言したもの」と指摘した。黒田総裁は個人的にはレンジ拡大には反対のようだが、雨宮副総裁はその必要性をセミナーで説いた。

 政府は9日、日銀審議委員の候補に野村アセットマネジメント最高経営責任者(CEO)兼社長の中川順子氏を充てる国会同意人事案を衆参両院に提示した。

 トルコ中央銀行18日にインフレの加速を受けて主要政策金利を2%引き上げを決定。ところがトルコのエルドアン大統領は19日深夜、中央銀行のアーバル総裁を解任すると発表。金融緩和を求めるエルドアン氏の不興を買ったようである。

 日銀は19日の金融政策決定会合で、点検を行った結果として、金融政策の修正を行った。金融仲介機能への影響に配慮しつつ、機動的に長短金利の引き下げを行うため、短期政策金利に連動する貸出促進付利制度を創設。イールドカーブ・コントロールについて、平素は柔軟な運営を行うため、長期金利の変動幅は±0.25%程度であることを明確化。

 英国のジョンソン首相は22日に、欧州で広がりを見せている新型コロナウイルスの感染第三波が英国に飛び火する恐れがあるとして注意を促した。ドイツではロックダウンを延長し、4月の復活祭には一段と厳格化すると発表。

 23日、エジプトのスエズ運河で愛媛県の会社が所有する大型のコンテナ船が座礁。

 ヘッジファンドのアルケゴス・キャピタル・マネジメントが日本の大手金融機関などに多額損失をもたらしたことが明らかに。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事