日本のGDPは2四半期ぶりにマイナス成長、緊急事態宣言とサプライチェーンの問題などが影響か
内閣府が15日に発表した2021年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.8%減、年率換算で3.0%減となった。
マイナス成長は2四半期ぶりとなる。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4度目の緊急事態宣言が東京都では7月12日から9月30日にかけて発令されていた。この影響でGDPの半分以上を占める個人消費が大きく落ち込んだことも要因となっていた。
個人消費は前期比1.1%減と2四半期ぶりに減少した。半導体不足や東南アジアの感染拡大に伴う部品の供給制約で自動車の生産が滞ったことが響いた。パソコン需要が一服したことや、半導体不足もあって家電も落ち込み、耐久財は13.1%減と2四半期ぶりに減少した。衣服などの半耐久財も5.0%減となった。
内需のもう一つの柱である設備投資も3.8%減で、こちらも2四半期ぶりのマイナスとなった。部品の供給制約などで自動車の生産ができず、一般企業が事業用の車を購入できなかったことが影響したとの指摘がある。
個人消費も設備投資も緊急事態宣言による需要の落ち込みに加えて、サプライチェーンの問題とともに新型コロナウイルリスの感染が拡大していた東南アジアなどに主力工場がある企業の生産が落ちるなどの影響も大きかったものと思われる。
輸出は前期比2.1%のマイナス。自動車の生産調整などの影響で5四半期ぶりの減少となった。輸入は同2.7%のマイナスに。
10~12月期については今のところプラス成長になるとの予想となっている。緊急事態宣言の全面解除を受け、経済の正常化を睨んだ動きからGDPを引き上げることが予想される。ただし、エネルギーや原材料などの価格上昇による影響も出てくることが予想され、企業の設備投資や人件費が抑制される懸念もある。