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日経平均3万円台回復の背景は、閉塞感の打破を期待した仕掛け的な動きか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 9月6日の夕方、ナイトセッションでの日経平均先物は3万円台を回復した。中心限月としては4月9日以来、約5か月ぶりの水準となる。そして翌7日、日経平均株価も3万円の大台を回復した。

 ちなみに9月6日米国株式市場はレーバーデーで休場となっていた。

 6日の夕方に何かしら材料が出たわけでもない。米国株式市場が休場となれば、通常は動きづらいはずである。閑散で様子見気分も強い中、するすると日経平均先物が上昇した。これはいわゆる仕掛け的な動きである。

 先物を使った仕掛け的な動きで、時間帯なども考慮すれば、海外ヘッジファンドの買い仕掛けとみて良いのではなかろうか。

 現政権が停滞し、支持率も低下、低迷していた状況化において、新たなトップが選ばれる。それに対する期待感の強まりによる株高は、2012年末にも起きていた。野田政権から安倍政権への移行時である。

 また米国でもトランプ大統領誕生時にも似たような動きがあったし、バイデン政権誕生の際にも同様の動きがあった。

 閉塞感を打破することへの期待がこれらの背景にあったとみられる。また、タイミングの問題もあったと思われる。アベノミクスなどその典型であろう。

 日本株は欧米の株価に対して割安ともされ、その修正との見方もある。割安かどうかを判断するのも難しいし、割安だったとしたらそれなりの理由もあったはずである。新政権がその割安を修正するような手段を打てるのかどうかはわからない。

 それでもトップが変わることによって、現状の良くない状況が改善されるとの期待感は当然出てこよう。それを狙ったかのような買い仕掛けであったと思われる。これが継続するかどうかは、新政権の政策次第、もしくはタイミングの問題となろう。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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