日本銀行に個人は口座を持てるのか?
ある芸人さんが動画配信で、高校時代に嘘を付きやすい人が嘘を付いていることを明らかにさせるための誘導質問として、「おまえ、日銀に銀行口座を持っているんだって」というものがあった。それに対して高校時代の同級生は「持っていたけど先日、口座を解約した」と答えたそうである。
これはなかなか的を付いた質問ではあったが、その芸人さんは高校時代、すでに日銀には個人が口座を持てないということを知っていたことになる。これはなかなかの知識であったと思う。私は高校時代に日銀に個人が口座を開設できるかとの質問に果たして答えられたであろうか。
もう少し政治経済の勉強をしておけとも言われそうだが、日銀には個人は口座を開設することはできない。日銀に預金口座を開設している先は、主として金融機関等となる。いわゆる銀行の銀行としての役割を日銀は持っている。そして、国、外国の中央銀行や国際機関などが預金口座を開設している。国、つまり政府の銀行という役割も日銀は持っている。
しかし、日銀は個人や一般企業からの預金は受け入れていない。これが個人向け国債のネット販売のひとつの壁となっていた。これに対して米国では日本の個人向け国債のモデルともなった貯蓄国債(Savings Bonds)はインターネットを通じたTreasury Direct で簡単に購入できる仕組みとなっている。
日銀に個人が口座を持つことができないため、もし日銀がデジタル通貨を発行した際には、個人は民間金融機関を経由してデジタル通貨を使うかたちになると予想されている。
日銀に口座を持つことができる民間の金融機関や政府は、日銀との資金のやり取りを日銀の当座預金口座を通じて行っている。日銀の量的緩和策とは民間銀行の持っている国債を日銀が市場を通じて買い入れることで、日銀の保有資産に国債が積み上がるとともに、国債売却資金は民間金融機関の日銀の当座預金に積み上がる格好となっている。それがどのようにして物価に影響を与えるのかについては私は良くわからない。
ちなみに以前、ツイッターで見て驚いたのだが、交通反則金の反則金については直接、日銀の窓口でも受け付けているそうである。
日銀のサイトで確認したところ、交通反則金等の歳入金は納めることができますかとの質問に対して、歳入金は、日本銀行の本支店のほか、日本銀行の代理店となっている全国の金融機関(一般代理店、歳入代理店)で納めることができますとなっていた。ただし、日銀の業務ではあるものの、できればお近くの金融機関で納めた方が日銀としても助かるように思われる。