FRBはかなり慎重ながらも将来の利上げも意識か
FRBのブレイナード理事は23日、景気支援策を引き揚げる前に、FRBは雇用と物価を巡る目標の達成を「断固として忍耐強く」待つと述べた。さらに、失業が減少し、インフレが上向く兆候がで始めたときに「予防的に」対応しないと指摘。いかなる金融政策の引き締めも「雇用とインフレの状況に左右される」とし、こうしたアプローチは「断固として忍耐強く」対応することを意味していると述べた(24日付ロイター)。
金融政策を決める人たちに対してタカ派、ハト派との色分けされることがあるが、ブレイナード理事はいわばハト派の筆頭ともいえる。つまり引き締め策にはより慎重な人物である。しかし、現在のFRBはブレイナード理事の述べた考え方が主流になっているとみられる。
ブレイナード理事は、量的緩和策について、買い入れ縮小の是非、もしくは縮小の規模について検討することは当面は妥当ではないと語った。あくまで「当面」をつけているあたり、柔軟性はうかがえる。
そして、セントルイス地区連銀のブラード総裁は23日、米国のインフレ率は年内に2.5%に達し、2022年にもさほど低下しないと予想、FRBはインフレ目標の達成としてこれを歓迎すると述べた(24日付ロイター)。
そして、ダラス連銀のカプラン総裁は、米金融当局による来年の金利引き上げを予想する政策当局者の中に自身が含まれると明らかにした(24日付ブルームバーグ)。
カプラン総裁はFOMC参加者の金利予測分布図(ドット・プロット)に言及し、「2022年の利上げ開始を予測するドットがいくつかあった。私はそうしたドットの1人だ」と述べた。
今回のドット・プロットでは、正副議長や地区連銀総裁ら18人のうち、2023年に利上げを見込む参加者は7人おり、前回、予測を提示した2020年12月時点の5人から増えていた。2022年中の利上げを予想するメンバーも4人いた。この4人のうちの一人がカプラン総裁であった。
注意すべきはこの結果が、少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持する方針を表明したものではない点となる。あくまで現在の参加メンバーの予想の中心にあるに過ぎず、2023年末まで絶対に利上げはしないと宣言しているわけではない。
状況は刻々と変化するが、金利の先行きを巡るドット・プロットのモメンタムとしては緩和よりも引き締めを示しているように思われる。方向としては少なくとも、次は利下げではなく利上げをみている。その前に資産買入額を減少させるテーパリングという作業も必要になる。それについては「当面は」妥当ではないとの見方ともなっているようである。
ただし、少なくともカプラン総裁のように利上げを意識している参加者もいるのも事実である。