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米国の家計の資産が過去最高に

久保田博幸金融アナリスト
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

 FRBが10日に発表した第3四半期の資金循環統計によると、今年9月末の家計の資産額は1123兆5000億ドルとなりこれは過去最高額となった(11日付ロイター)。

FRB「Financial Accounts of the United States - Z.1」 https://www.federalreserve.gov/releases/z1/

 米国の株価指数をみると3月に新型コロナウイルス感染拡大を受けたロックダウンなどによって大きく下落したものの、そこから持ち直してきていた。9月には3月の下げ分をカバーしていた格好となり、6月末に比べて株価は上昇していたことで株価の評価額の上昇が寄与していた。さらに持ち家の評価額の上昇も寄与していたようである。

 家計資産は株高で2兆8000億ドル、住宅の価値が上がって約4000億ドルそれぞれ増加していた。それに加えて現預金が4730億ドル増えて過去最高の13兆4000億ドルに達していた。

 これには2.4兆ドル規模の3月から4月にかけての第一次から第四次までの米国政府による経済政策が影響していたものとみられる。家計支援については約7400億ドル規模となっていた。9月末時点ではまだ政府による緊急支援で家計が得た資金がそれほど取り崩されていなかった格好に。

 そして、家計の債務も住宅ローン残高が増加した影響で増加していた。住宅ローン残高は過去最高の10兆8000億ドルとなっていた。コロナ禍にあって、住宅ローン残高が大きく増加していたのは、政府による財政政策もあったとみられるが、米国の住宅ローン金利が過去最低を更新するなどしたことも影響したと思われる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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