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QRコードで住民税などの納税が自宅で可能に、その方法とは

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 地方自治体が扱う住民税や固定資産税、自動車税などの納税が、スマートフォンでQRコードを読み取ることにより、自宅でできるようになるようである。

 これにより、納税者は納税のために銀行やコンビニエンスストアに行く必要がなくなる。入金したデータは自治体のシステムにすぐ反映され、紙による管理や確認も不要になる。つまり、銀行や自治体の事務量が大幅に減少されることになる。

 1日付けの日経新聞によれば、早ければ2022年に全国への導入をめざす。全銀協と総務省が本格的な協議に入ったそうである。

 この仕組みのポイントはQRコードを使ったアプリにある。日本電子決済推進機構(J-Debitの推進団体)は2019年10月31日に「Bank Pay(バンクペイ)」と呼ばれるサービスを開始した。

 J-Debitとは、いわゆるデビットカードのシステムとなる。デビットカードとは、金融機関のキャッシュカードをそのまま使って買い物などの支払が出来るサービスで、日本での呼び名は「J-Debit」となっている。

 このJ-Debitの基盤を使ったアプリが「Bank Pay」となる。J-Debitの基盤は、金融機関間取引を日単位でクリアリング(交互計算)し、決済尻を即時性・安全性をベースとした全銀システムにて為替交換することで、安価な小口決済を実現している(全銀ネット有識者会議の資料より)。

Bank Payのご紹介(2020年1月10日、日本電子決済推進機構)

 Bank PayはJ-Debitという既存の基盤を生かしたQR決済のアプリとなる。デビットカードのような使い方がQRコード決済で可能となるため、納付書に印刷されるQRコードを読み込んで、Bank Payを通じて自分の銀行口座から納税額を引き落とせることになる。

 日本でのQRコード決済の普及についは銀行口座とどのような紐付けにするのかがポイントのひとつとなる。しかし、海外で普及していたデビットカードは日本ではなかなか普及しなかった。これは現金決済が安心で楽に行えるという既存システムも影響していたと思われる。

 このため国内でのキャッシュレス決済の普及のポイントのひとつにデビットカードの普及も必要と個人的に思っていた。それをQRコードを使うことで納税などに利用するというのは面白いシステムだと思う。

 自宅で気軽に納税も可能となれば、「Bank Pay」の普及が進む可能性がある。ポイントなどが付与されなくても、煩わしいものが解消するだけで利便性は高いものとなる。しかも、J-Debitは国内1000行以上の金融機関が参加し、納税に利用されるぐらいに信頼性も非常に高いものとなっていることも大きな利点となろう。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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