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米民主党の副大統領候補にハリス上院議員、これを金融市場はどうみるか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 米国の大統領選挙で野党・民主党のバイデン前副大統領は、副大統領候補に女性で黒人のカマラ・ハリス上院議員を選んだと発表した。バイデン氏が大統領選挙で勝利すれば、ハリス氏がアメリカ史上初めての女性の副大統領となる。

 バイデン氏とハリス氏は今月17日から開かれる民主党の全国党大会で正副大統領候補に正式に指名され、11月の本選挙でトランプ大統領とペンス副大統領に挑む(12日付NHKニュース)。

 米国の大統領選挙は11月3日に行われる。現職とトランプ大統領が有利とみられていたものの、新型コロナウイルスの対応などを巡って支持率を落としており、現在は民主党のバイデン前副大統領が優位に立っている。

 ハリス氏はカリフォルニア大学のロースクールを卒業後、検察官となり、2011年からの6年間は女性として初めて、カリフォルニア州の司法長官を務めた。2016年にカリフォルニア州の上院議員に選出され、現在は1期目ながら民主党若手議員として評価されているとか。

 バイデン氏は高齢であり、大統領選挙に向けてここがひとつのネックともされた。しかし、副大統領候補が大統領候補に耐えうる人物となれば、高齢による懸念は多少なり軽減されよう。ちなみにハリス氏は55歳。

 米大統領選挙はまさに選挙であり、みずものとなる。あと3か月足らずながらも、その間にどのように流れが変化するのか読めない部分もある。しかし、それでもバイデン大統領、ハリス副大統領が生まれる可能性はそれなりに高いとみておく必要があるのではなかろうか。

 トランプ大統領は早速ツイッターにバイデン氏とハリス氏を批判する映像を投稿したそうだが、こういった行為そのものが米国大統領にふさわしいようには思えない。

 米国株式市場では、それでもバイデン氏よりトランプ氏のほうがまだましとの見方が強いかとみられる。しかし、政治家としての手腕という面ではバイデン氏のほうがまだすぐれているのではなかろうか。

 日米関係の行方も左右しかねない大統領選挙ともなるだけに、当然ながら東京市場も米大統領選挙の行方には注目せざるを得ない。どちらが市場にやさしいのかというよりも、どちらがまともな政治を行ってくれるのかを判断する必要もあるのではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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