2020年の金融市場は波乱の幕開けとなった。年末にかけて中東や北朝鮮情勢がややきな臭くなっていたが、年初にあらたな展開が待っていた。米国防総省は2日、イラン革命防衛隊の精鋭組織コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官を空爆で殺害したと発表した。これを受けてイランと米国の対立姿勢が強まり中東の地政学的リスクが高まった。

 これについて、米国が何かしらイランからの攻撃を事前に阻止するため、とかというよりも、イランに対する制裁の選択肢からトランプ大統領が最悪の選択をしたためとの見方がある。

 そうであれば、当然のごとく今回の米国のイランに対する行動の背景には、トランプ大統領の意志が少なからず働いていたと見ざるを得ない。つまり、今年の米大統領選挙を見据えた行動であり、米下院が「ウクライナ疑惑」でトランプ氏を弾劾訴追したことなども絡んでいた可能性がある。

 米国は本格的にイランとの軍事衝突を意識して行動したとは思えない。戦争にはいたらないぎりぎりのところで、米国内の世論を味方に付けられるであろうことを意識して行った可能性がある。

 これが米国の大統領選挙にどのような影響を与えるのかは読みづらい。ただし、再選を目指すトランプ大統領が与党・共和党の候補者に選ばれるのは確実な情勢の一方、野党・民主党は依然として14人が党の指名を争う異例の混戦となっている。これをみても、トランプ再選という可能性が現状は高いと見ざるを得ない。

 中東や北朝鮮などの地政学的リスクは無視できないものの、世界経済は思いのほか底堅い動きを2020年もするのではないかと予想している。中東情勢の緊迫化を受けて3日の原油先物は急騰したが、これは昨年10月以降の原油先物の上昇トレンドが続いていたため、地合の良さも背景とみることもできる。

 ここにきての原油先物の上昇は、原油の供給リスクというよりは、景気拡大による需要増も意識されているのではなかろうか。リスク回避によって金(ゴールド)が買われていたが、これは日米欧の中央銀行の緩和的な政策による金余りも背景にあろう。

 2020年は米国を中心に株価はしっかりとなり、ドル円も大きく崩れることは考えづらい。そして、長期金利は日米欧ともに上昇基調になると予想している。

 ただし、いつまでもこのような都合の良い相場が続くとも考えづらい。日本では今年、オリンピック・パラリンピックが開催されるが、中央銀行による麻酔が切れつつあることもあり、金融市場のお祭りムードもそろそろ終焉に向かうタイミングではないかと思われる。今後の市場の動きについても慎重に見る必要もあろう。