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トランプ大統領が利上げにご不満だとか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 トランプ大統領は17日にニューヨーク州ロングアイランドで開かれたイベントで、FRBが実施している利上げに不満を示したと複数の関係者が明らかにした。パウエル氏は「低金利」が好きだと側近らから聞かされていたが、早くも利上げを開始したと指摘したそうである(WSJ)。

 トランプ大統領がFRBの利上げに不満を表明したのは、これが初めてではない。2週間前にはニュージャージー州に自身が持つゴルフクラブでのディナーで、FRBの利上げ計画に不満が募りそうだと述べていたそうである(WSJ)。

 トランプ大統領による利上げ不満コメントを受けて、20日のニューヨーク市場ではドルが下落し、米債は買われた。21日にドル円は110円を割り込んできた。

 トランプ大統領の発言は公式なものではなく、これによって独立性が維持されているFRBの正常化路線に大きな影響は与えないと思う。しかし、中間選挙など睨んでFRBへの圧力を強め、利上げペースが後退してくる可能性はありうるか。

 トルコのエルドアン大統領が通貨リラの相場安定のため不可欠とみられる中央銀行による政策金利の引き上げに否定的な考えを示したことで、これが一段のリラ売りにつながった。政治家が中央銀行の政策に口を挟むなり、プレッシャーを掛けると禄なことはない。

 そういえば、政府の強い意向を受けて、異次元緩和を続けざるを得ない中央銀行があったように思う。その国の経済実態は悪くないのに、しかも非常時でもないにもかかわらず、利上げなどもってのほかという状態となっている。これは決して健全といえる状態ではないことも明らかではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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