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2018年のビックリ予想、日経平均の3万円台達成!

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 2018年の東京株式市場は4日の大発会で、抜けそうで抜けなかった23000円をあっさりと抜いてきた。昨年末は大納会で年内の最高値を更新し、いわゆる「掉尾の一振」になるかと期待されたがそれは叶わなかった。しかし、新年早々にこの23000円をクリアしたことは、むしろ今後さらに日経平均が上昇してくることを予感させるものとなった。

 日経平均の23000円台達成は単に節目を抜いただけということだけでなく、実はチャート上、なかなか破壊力のある水準を抜いたことになる。

 株式市場では「掉尾の一振」といった相場格言のようなものが数多くある。それは江戸時代の大阪堂島での米相場当たりから続くものも多い。大阪堂島での米の先物取引は現在の金融先物取引の原型となっているだけでなく、値動きもあり、ローソク足などを使ったテクニカル分析もすでに行われていた。本間宗久によって編み出された酒田五法はテクニカル分析のバイブルとも言える。

 そんな相場格言のひとつに「半値戻しは全値戻し」というものがある。大きな相場下落があり、その後回復基調となり、相場下落時の高値から安値の半値まで戻ると、相場は再び下落前の高値まで戻るという習性があることを示すものである。ただし、相場に絶対はなく、半値に戻せば絶対に全値戻しとなるわけではない。しかし、その確率が比較的高いとの過去の相場体験に基づいた格言といえる。

 日経平均株価の最高値は1989年12月末大納会につけた38915円となっている。1989年はまさに掉尾の一振となったが、ここがピークとなり、いわゆるバブル崩壊が始まる。そのバブル崩壊後の安値が、2009年3月10日の7054円となった。38915円から7054円下落の半値戻しが、22984円となる。つまり日経平均で抜けそうで抜けなかったのは23000円というよりも、この半値戻しの水準と言えた。

 これを年が変わって抜けてきたことの意味は大きい。「掉尾の一振」となれば、1989年の相場を思い出されて目先のピークアウト感が出てくる可能性もあった。しかし、新年早々に直近の高値を更新してきたことは、今年の相場そのものの動きを予感させるものとなる。さらに半値戻しを達成したとなれば、全値戻しを連想させることになる。

 日経平均はこれにより30000円が視野に入り、全値戻しとなる可能性も見えてきた。すでに米国などの株価指数は過去最高値を更新しており、日本の株価指数が最高値を更新してもまったく不思議はない。世界経済の拡大傾向は当然、日本国内の景気にも好影響を与えよう。国内要因としても、新元号のスタートや東京でのオリンピック・パラリンピックの開催など大きなイベントも控えており、国内景気がさらに拡大し、株価はこれから本格的に上昇トレンドを迎える可能性も十分にありうるのではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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