2012年12月末の日本国債(短期債除く)の保有者
3月25日に日銀は2012年10~12月期の資金循環統計を発表した。これによると2012年12月末時点の家計の金融資産は1546兆7085億円(2012年9月末速報値1509兆6129億円)に増加した。アベノミクスへの期待による円安株高効果がこちらにも現れた結果に。
家計の金融資産・負債差額は1193兆3514億円(同1155兆1602億円)であり、一般政府の債務残高は1112兆3448億円(同1132兆7203億円)となっていた。
家計の現金・預金は853兆9401億円と過去最高を記録した6月末の844兆1202億円を抜いて過去最高額を更新。こちらも国債投資の原資となる民間の非金融法人企業の現金・預金は219兆1122億円と前回より減少したが高水準を維持している。
この資金循環統計を基に、2012年12月末時点の国債保有者別の残高と全体に占める割合を算出してみた。ただし、これは国庫短期証券を含んだものではなく、国債・財融債のみの数値を個別に集計し直したものである。一般的に国債の保有者の割合としては、こちらの数値が使われることが多い。
12月末の国債(国債・財融債のみ)の残高は、784兆9632億円(同780兆1016億円)と前回の9月末から4兆8616億円増加した(速報ベース)。国庫短期証券を加えると約960兆円となる。参考までに日銀の資金循環統計の数値は額面ベースではなく時価ベースとなっている。
銀行など民間預金取扱機関 300兆2249億円(9月末270兆6741億円)、38.2%(同34.7%)
民間の保険・年金 211兆7344億円(同209兆4620億円)、27.0%(同26.9%)
日本銀行 90兆9024億円(同83兆7171億円)、11.6%(同10.7%)
公的年金 67兆9244億円(同66兆5868億円)、8.7%(同8.5%)
海外 34兆8580億円(同56兆695億円)、4.4%(同7.2%)
投信など金融仲介機関 37兆4568億円(同38兆7578億円)、4.8%(同5.0%)
家計 24兆4656億円(同25兆4965億円)、3.1%(同3.3%)
財政融資資金 8691億円(同8450億円)、0.1%(同0.1%)
その他 16兆5276億円(同28兆4928億円)、2.1%(同3.7%)
前回の2012年9月末に比べて、残高が大きく増加していたのが銀行など民間預金取扱機関で29兆5508億円増、次に日銀の7兆1853億円増、続いて民間の保険・年金銀行の2兆2724億円増となっていた(速報ベースでの比較)。
これに対して減少していたのが、海外投資家で21兆2115億円の減、その他が11兆9652億円の減となっていた。その他の減少には、対家計民間非営利団体による9月末比11兆8292億円の減少が大きく影響していた。
この時期はまさにアベノミクス効果も発揮されて、次元の違う金融緩和などへの期待から、円安修正が進み、株も上昇した。この間に海外投資家は大きく残高を減少させたが、それ以上に国内銀行が残高を積み上げた。国庫短期証券を含んだ数字でみても、今回海外は全体の8.7%のシェアとなり、過去最高を記録した前回の9.1%からシェアダウンした。