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NY原油28日:中国指標の悪化が嫌気され、反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油11月限 前日比1.27ドル安

始値 45.38ドル

高値 45.50ドル

安値 44.30ドル

終値 44.43ドル

中国の指標悪化や世界経済の減速懸念が嫌気され、反落した。

アジアタイムから戻り売り圧力が強く、終日も戻り売り優勢の展開になった。特に大きな材料は見当たらないが、世界経済の先行き不透明感を指摘する声が目立った。中国の8月工業利益は前年同月比-8.8%となった。1~8月通期でも前年同期比-1.9%に留まっており、中国の製造業部門の活動が著しく悪化していることが再確認されている。

米国の個人消費統計は良好だったが、仏紙がラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事の発言として、今年の3.3%、来年の3.8%の成長予想は現実的ではないと報じたこともネガティブに。IMFの成長率予想は石油需要予測の基礎データになるだけに、将来的な需要見通し引き下げリスクが警戒された模様。

もっとも、最近のレンジ内での調整圧力に留まっており、積極的に売買を仕掛けるような動きまでは確認できず。基本的にはボックス相場が継続しており、明確な方向性を打ち出せていない。米国でシェールオイルに減産兆候が強まる中、投機筋は改めて売り込むことを躊躇している。もっとも、価格が上昇すればシェールオイルに再び増産圧力が強まるのは必至であり、安値是正を進めるには至っていない。原油相場の底入れには、日柄か値柄調整が必要な状況に変化はなく、引き続き戻り売り対応が基本になるだろう。シェールオイル減産で大きく値崩れを起こす必要性は薄れているが、それ以上に反発する必要性は乏しい状態が維持されている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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