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NY金10日:前日の急落に対する修正で、反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比7.30ドル高

始値 1,105.70ドル

高値 1,114.10ドル

安値 1,102.50ドル

終値 1,109.30ドル

前日に19.00ドルの急落相場となった反動から、本日は安値是正の動きが優勢になった。世界的に株式相場の地合がやや不安定化していること、ドル安もポジティブに。

アジア・欧州タイムは総じて1,106~1,108ドルの狭いレンジ内での展開になったが、ニューヨークタイム入りと前後して買いが膨らみ、一時1,114.10ドルまで上値を切り上げた。その後は米株式相場の反発もあって伸び悩んだが、為替がドル安に振れる中でも上値を試す動きは鈍く、全般的に決め手を欠く展開に。大きな値動きを見せたのはニューヨークタイム入り後の極めて短い時間帯に留まっており、積極的に買われたというよりも前日の急落相場に対する修正という、テクニカル要因の影響が大きかったと考えている。

本日は新規失業保険申請件数が発表されているが、前週比+27.5万人となり、市場予測と同水準に落ち着いた。前週の29.1万人は下回ったが、特に雇用環境に対する評価を修正する必要性は乏しく、マーケットの反応は限定的。8月以降の国際金融市場の混乱が米雇用環境にネガティブな影響を及ぼしていないという意味では金価格にネガティブだが、これを手掛かりに大きく売り込むような動きは見られなかった。

米長期金利の上昇とドル安が同時進行する不安定な相場環境が続く中、株価動向などによってはなお瞬間的な上昇リスクが残る。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融正常化プロセスに対する信認回復が進む中、金上場投資信託(ETF)市場などでは資金流出傾向が顕著になっており、金価格の戻り売り基調が修正を迫られることはないだろう。1,100ドルの節目割れから、直近安値1,072.30ドルを窺う展開が続く見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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