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藤井棋聖ストレートで二冠なるか――第61期王位戦七番勝負第4局展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
史上最年少二冠の期待がかかる藤井聡太棋聖(筆者撮影)

 木村一基王位(47)に藤井聡太棋聖(18)が挑む第61期王位戦(新聞三社連合主催)七番勝負は第3局まで終え藤井棋聖が3連勝とタイトル奪取に王手をかけている。第4局は8月19、20の両日、福岡県福岡市「大濠公園能楽堂」で行われる。

 史上最年少・最速での二冠獲得なるか、データを基に勝敗と展開を予想してみた。

<王位戦七番勝負日程とこれまでの結果>(以下の肩書は対局当時)

第1局 7月1、2日愛知県豊橋市「ホテルアークリッシュ豊橋」

藤井七段 ○

第2局 7月13、14日北海道札幌市「ホテルエミシア札幌」

藤井七段 ○

第3局 8月4、5日兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」

藤井棋聖 ○

第4局 8月19、20日福岡県福岡市「大濠公園能楽堂」

第5局 8月31、9月1日徳島県徳島市「渭水苑」

第6局 9月14、15日神奈川県秦野市「元湯 陣屋」

第7局 9月28、29日東京都渋谷区「将棋会館」

データでは藤井棋聖断然有利

<木村王位の最近10局>※未放映のテレビ対局を除く

6月11日 順位戦B級1組

対阿久津主税八段 ○

6月22日 竜王戦1組出場者決定戦

対三浦弘行九段 ○

7月1、2日 王位戦七番勝負第1局

対藤井七段 ●

7月8日 棋王戦本戦

対金井恒太七段 ○

7月13、14日 王位戦七番勝負第2局

対藤井七段 ●

7月17日 王将戦2次予選

対稲葉陽八段 ○

7月22日 竜王戦決勝トーナメント

対梶浦宏孝六段 ●

7月30日 順位戦B級1組

対永瀬拓矢叡王 ●(千日手指し直し)

8月4、5日 王位戦七番勝負第3局

対藤井棋聖 ●

8月14日 棋王戦本戦

対三浦九段 ○

<藤井棋聖の最近10局>※未放映のテレビ対局を除く

7月1、2日 王位戦七番勝負第1局

対木村王位 ○

7月6日 順位戦B級2組

対橋本崇戴八段 ○

7月9日 棋聖戦五番勝負第3局

対渡辺明棋聖 ●

7月13、14日 王位戦七番勝負第2局

対木村王位 ○

7月16日 棋聖戦五番勝負第4局

対渡辺棋聖 ○

7月18日 将棋日本シリーズ1回戦

対菅井竜也八段 ○

7月19日 NHK杯

対塚田泰明九段 ○

7月24日 竜王戦決勝トーナメント

対丸山忠久九段 ●(千日手指し直し)

7月29日 順位戦B級2組

対鈴木大介九段 ○

8月4、5日 王位戦七番勝負第3局

対木村王位 ○

 最近10局の成績は木村王位5勝5敗、藤井棋聖8勝2敗と差がついている。

 木村王位も大崩れせず踏み止まっているのはさすがだが、7月に史上最年少タイトル獲得記録を更新した藤井棋聖の勢いを止めるのは厳しいように思われ、このまま二冠誕生の可能性は高そうだ。

第4局は相掛かりか

 第4局は木村王位が先手番なので相掛かりが本命だ。主導権が取りやすく、同じ戦型を用いた第2局でも中盤までは優位に戦いを進めていた。他棋戦でも木村は先手番で相掛かりを多用している。

 今回も中盤までは木村王位のペースで進み、藤井棋聖が終盤力で追い込む展開を予想する。

 40代ただ一人のタイトルホルダーが、持ち前の粘り強さで意地を見せることができるか注目したい。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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