東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、今年は3つの祝日がカレンダー通りの日から別の日に移動になる。発表されたのは昨年の12月21日だ。

「2021年の祝日移動について」(首相官邸HP)

 この祝日の移動により、7月の第3月曜日の海の日が、7月22日(木曜日、オリンピック開会式の前日)に、10月の第2月曜日のスポーツの日が、7月23日(金曜日、オリンピック開会式当日)に、8月11日の山の日が、8月8日(日曜日、オリンピック閉会式当日)に変更され(8月9日(月)は振替祝日)、もともとの祝日に設定されていた日はそれぞれ平日になる。

内閣府政府広報オンラインのツイートより。
内閣府政府広報オンラインのツイートより。

 政府の発表が年末であったため手帳やカレンダーでは変更前の祝日が表示されているものも多く、祝日を勘違いすることによって労働トラブルが発生する可能性もある。

 この記事では可能性のあるトラブルとその対処法をご紹介したい。

大前提として、「勘違いしない」が何よりも大切

 祝日変更が行われていないカレンダーや手帳が流通しているとはいえ、政府の発表は昨年の12月21日のことでだいぶ前のことだ。これだけ事前に祝日変更の通知があるのだから、労働者による祝日の勘違いが生じた場合、労働者には過失がないという主張は通りにくい。だから、大前提として、祝日変更を注意深く確認するのが一番大切だ。

労働契約の休日の欄に、「祝日」の記載があるのか確認する

 さてそのうえで、まず皆さんに確認してもらいたいことがある。あなたの休日はいつか、ということだ。

 労働者は使用者(会社)との労働契約(雇用契約)に基づいて働いている。労働契約というのは、簡単に言えば、労働者が労務を提供し、その対価として使用者が賃金を支払うという契約だ。

 労働契約の内容は、使用者が雇い入れ時に書面で明示することが労働基準法で義務付けられており、休日は使用者が絶対に説明しなければならないものとなっている。もし休日の記載がない場合には法律違反である。

 この記事のテーマとなっている祝日の変更に焦点を絞ると、労働契約の休日の欄に「祝日」や「国民の休日」など、記載があるか否かで対応が変わってくる。

 政府のカレンダー通りと自分では思っていても、実際は会社が設定したカレンダーによって出勤日が決まっている場合もあるので、注意が必要だ。会社が休日を設定している場合には、祝日の変更に伴い会社からも休日の変更の通知がない限り休日は変更にならないことになる。 

祝日変更で出勤日になった日に欠勤して懲戒になった時の対処法

 祝日の変更の発表は去年末だったため、手帳などでは変更前の祝日がそのまま表示されているものが多くある。この手帳の表示をそのまま見て、変更前の休日通り会社を休んでしまい、欠勤になってしまうことは起きそうな問題だ。

 通常であれば、カレンダーの間違いによる欠勤という理由を説明すれば、それ以上責任を取られるようなことはないだろうが、戒めのために懲戒処分を下す会社もあるかもしれない。

 万が一懲戒処分になった場合には、どういうことに気を付けたらよいだろうか。

懲戒処分が正当な懲戒になる条件

 懲戒に先立って、会社は、就業規則に懲戒の種類(戒告、減給、出勤停止、懲戒解雇など)と、その理由を定め、その規則を労働者に周知しなければならないことになっている。また手続きの方法についても決まりが設けられる。懲戒は就業規則の通りに行われなければならない。

 さらに、懲戒処分の内容と、懲戒の対象となっている行為が見合っており(厳しすぎてはならない)、すべての人に平等に処分が科されなければならない。

 通常は、軽い行為については軽い懲戒から始まるのが普通だ。

 よほどの重要な業務の欠勤などでない限り、祝日の変更を知らずに欠勤した場合のようなケアレスミスによる欠勤も、初めてならば懲戒にはされず、簡単な口頭指導で終わり、何度も繰り返すようであれば、文書による戒告処分などの処分が科されていくのが通常だろう。

 軽い行為に対してあまりに重い処分を下すことは人事権の濫用にあたり、無効となる。

懲戒にされた時にすべきこと

 以上を踏まえれば、懲戒にあった際には、後で争うときのことを考えて、経緯を記録しておくことだ。やり取りは、可能な限り録音を残しておくほうがよいだろう。録音していることは会社に伝える必要はない。自らを守るための録音は正当なものだからだ。

 まず、やるべきことは、懲戒が就業規則のどの決まりによって行われているのか、確かめることだ。通常、就業規則の懲戒の項目は以下の例ように、細かく規定されているので、第何条の第何項のどういう規定にあたっているのか、確認しよう。

第○条(懲戒の種類と懲戒事由の適用)

 懲戒事由は、以下のとおりとし、情状に応じ、訓戒、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨退職、懲戒解雇に処する。

① 無断もしくは正当な理由なく欠勤、遅刻、早退をしたとき

② 出退勤時刻にかかる情報の不正をしたり、不正を依頼した場合

③ 第○章に定める服務の規定に違反した場合

④ 刑事事件で有罪の判決を受けたとき

⑤ 経歴を偽り、採用されたとき

⑥ 故意または過失により、災害または事故を発生させ、会社に損害を与えたとき

⑦ 職務上の地位を利用し、第三者から報酬を受け、若しくはもてなしをうけるなどしたとき

⑧ 暴行、脅迫その他不法行為をして、会社の信用を害したとき

⑨ 正当な理由なく、業務上の指示・命令に従わなかったとき

⑩ 会社の業務上の秘密を外部に漏洩し、または漏洩しようとしたとき

⑪ その他前各号に準ずる程度の不都合な行為のあったとき

 次に手続きである。懲戒には、本人の事実確認の機会をだれがどのように持つのか、弁明の機会を設けるのか、などの手続きの決まりがあるので、それも確認する必要がある。

 そのうえで、懲戒の内容が1日の欠勤という行為に対して、重いものであると感じるのであれば、しっかり不服であると伝えよう。

すぐに専門家に相談する

 ここまで自分でやったところで、すぐに私たちのような専門家に相談することも大切だ。正当な懲戒の範囲には、明白な線はなく、専門知識が必要だからだ。

 専門家は多くの事例や判例にくわしく、懲戒の重さや手続き内容が正当であるか不当であるか判断してくれるだろう。そして、実際に不当な懲戒処分であると判明した場合には、会社と交渉して懲戒処分を撤回させるなど解決案も示してくれるはずである。

 下記の相談窓口はどれも親身に皆さんの話を聞いてくれるだろう。お困りの方は迷わずご利用いただきたい。

常設の無料労働相談窓口

NPO法人POSSE

03-6699-9359

soudan@npoposse.jp

*筆者が代表を務めるNPO法人。訓練を受けたスタッフが法律や専門機関の「使い方」をサポートします。

総合サポートユニオ

03-6804-7650

info@sougou-u.jp

*個別の労働事件に対応している労働組合。労働組合法上の権利を用いることで紛争解決に当たっています。

介護・保育ユニオン

03-6804-7650

contact@kaigohoiku-u.com

*関東、仙台圏の保育士、介護職員たちが作っている労働組合です。

NPO法人POSSE 外国人労働サポートセンター

メール:supportcenter@npoposse.jp

仙台けやきユニオン

022-796-3894(平日17時~21時 土日祝13時~17時 水曜日定休)

sendai@sougou-u.jp

*仙台圏の労働問題に取り組んでいる個人加盟労働組合です。

労災ユニオン

03-6804-7650

soudan@rousai-u.jp

*長時間労働・パワハラ・労災事故を専門にした労働組合の相談窓口です。

ブラック企業被害対策弁護団 http://black-taisaku-bengodan.jp/

03-3288-0112

*「労働側」の専門的弁護士の団体です。

ブラック企業対策仙台弁護団

022-263-3191

*仙台圏で活動する「労働側」の専門的弁護士の団体です。