Yahoo!ニュース

アグレッシブ過ぎる東海大相模の初回の攻撃

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

OPS1.7超えの化け物スラッガー

 名門で1年時から4番を務めたスラッガーが、高校ラストイヤーにようやく甲子園の土を踏みしめる。

 選抜注目打者の筆頭、東海大相模の主砲・森下の成績が凄まじい。

 昨秋の公式戦成績は11試合41打数で21安打を放ち打率.512。5本のアーチを描き、23打点を稼いだ。安打の内訳は二塁打が7本で三塁打が3本、これに本塁打5本を足せば21安打中15本が長打となる。長打率は驚愕の1.195。全打席安打の場合の長打率が1.00だから相手チームからしてみれば単打で済めばラッキーというレベルだ。.553という非常に高い出塁率を足せば、OPSは1.748。これがどれほどの数字か。OPSは.800以上が強打者、1.000を超えればMVP級とされている。例えば、2015年にトリプルスリーを達成した山田(ヤクルト)が1.026で柳田(ソフトバンク)が1.100。2013年に60発を放ち年間最多本塁打記録を樹立したバレンティン(ヤクルト)が1.234。森下の爆発ぶりは尋常ではない。

大会屈指の超強力上位打線

 この森下は昨秋、初回に必ず打席のまわる3番を任された。11試合で23打点を挙げられたのは常に塁を賑わせた小松、山田の活躍も大きい。1番を打つキャプテンの小松は打率.441で2番の山田は打率.548。しかもどちらもしっかり四球を選べるタイプであり、出塁率は.574と.619(これは犠打飛となっている記録を全て犠飛とした場合の最も低い数字。実際はさらに高い可能性もある)。2人が続けて凡退する確率は16.23%。つまり、相手投手はどんな好投手であっても最も難しい立ち上がりに約85%の確率で走者を置いて、OPS1.7超えの化け物スラッガーと対峙しなければならない。

 新チームは68試合を戦って完封負けは1度だけ。平均得点は8.94点という猛打ぶりを発揮した。アグレッシブ・ベースボールを掲げる神奈川の名門が、試合開始のサイレンと同時に相手投手に襲い掛かる。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

小中翔太の最近の記事