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日本代表メンバーはどのように選考されるのか?選考会議の内幕とは。

小宮良之スポーツライター・小説家

今日(3月19日)の午後2時、サッカー日本代表のメンバー発表が行われる。バヒド・ハリルホジッチ監督が選出する初めての日本代表だけに注目が集まるところだが、代表メンバー選考はどのようなプロセスで行われるのだろうか?

前任者であるアルベルト・ザッケローニ監督時代の例を紹介しよう。

まずはスタッフがJリーグ、ACLを中心に視察で飛び回る。どの試合に誰が行くか、すべてザッケローニが決定していた。スタッフは毎週一度、月曜日の定例会議でその内容を報告。会議メンバー筆頭はザッケローニ監督だった。以下、ヘッドコーチのステファノ・アグレスティ、GKコーチのマウリツィオ・グイード、フィジカルコーチのエウジェニオ・アルバレッラ、テクニカルアシスタントのジャンパオロ・コラウッティのイタリア人5人。アシスタントコーチの和田一郎、コンディショニングコーチの早川直樹、そして現在の技術委員長(当時の技術委員)である霜田正浩の日本人3人だった。

会議は通常10時から正午までの約2時間。各スタッフがスピーチし、それに対して監督が質問する形式だった。

「想像力を働かせなさい。単純に誰が点を取り、アシストしたかは記録を見れば分かる。結果よりも、その選手が世界と戦った場合、そのプレーは通用するのか。常に想像して報告しなさい」

ザッケローニ監督は、スタッフにそう要求していた。

想像力。

選手の評価を下すスカウティングにおいて、ここが鍵となった。レベルの高い相手との試合や劣勢の状況で力を出せるのか、集団の中で周りを輝かせ、自分の長所を周りに伝え、己も生きることができるのか。その点のコミュニケーション力も欠かせない。点を取った、足が速い、背が高い、そんな評価は素人にもできる。

では、新たに日本代表監督になったハリルホジッチはどうか?

まず、就任してから日が浅い。チームを作るのに十分なスカウティングはできないだろう。会議においてスタッフがアドバイスできるとしても、やはり限定的と言わざるを言えない。

直感で選んだに近い日本人選手となるだろうか。

メンバー選考を前に、「三つはシステムを用意している」と言うハリルホジッチは、柔軟な姿勢を示す。アルジェリア代表と同じ戦いに固執することはあり得ないだろう。固着した戦術に囚われず、"世界で戦えるか"というプレーセンスで選ぶはずだ。

その点、AFCチャンピオンズリーグでJリーグ勢唯一、戦えている柏レイソルの選手たちは、想像力をかき立てられやすいだろう。工藤壮人、鈴木大輔、大谷秀和は高いインテンシティに適応できている。また、左SBの輪湖直樹はチームプレーヤーとしてのインテリジェンスと技術がある。ハリルホジッチは、経歴や年齢にこだわるような指揮官ではないだろう。ドイツの2部にいる山田大記は優れたプレービジョンで的確で迅速な判断ができるし、どこにいてもプレーの質が落ちない。プレースピードの強度を重視する監督だけに、ナビスコ杯で得点した33才、石川直宏(FC東京)のような選手も心惹かれるはずだ。

まずは料理人がどんな素材を手にするのか? お手並み拝見である。

スポーツライター・小説家

1972年、横浜生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。競技者と心を通わすインタビューに定評がある。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)『アンチ・ドロップアウト』(集英社)。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。他にTBS『情熱大陸』テレビ東京『フットブレイン』TOKYO FM『Athelete Beat』『クロノス』NHK『スポーツ大陸』『サンデースポーツ』で特集企画、出演。「JFA100周年感謝表彰」を受賞。

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