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アップル、中国への過剰依存から脱却へ インド生産比率25%目指す

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

米アップルがインドでの生産比率を現在の5〜7%から25%に引き上げる計画だと、ロイター通信米CNBCが報じた。

iPhone最新モデルもインドで生産

インドのゴヤル商工相が同国のビジネス実績について語り、アップルを「もう1つのサクセスストーリー」と表現したという。

「彼らのインド生産はすでに5〜7%に達している。私が間違っていなければ、アップルは25%まで拡大することを目指している」とカンファレンスの会場で述べた。ただし同氏は目標の達成時期について触れなかった。

アップル製品はその大半が中国の工場で生産されている。だが、同社は製造分野の地理的な中国依存を低減するため、他のアジア諸国での生産増強に力を入れている。

同社は2022年、スマートフォンの最新モデル「iPhone 14」のインド生産を開始した。同社が、iPhoneの最新モデルのインド生産を、その発売と同じタイミングで開始したのは、このときが初めてだった。

アップルは台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)大手、緯創資通(ウィストロン)と提携し17年にインドでiPhoneの生産を始めた。

その後、台湾EMS大手の鴻海(ホンハイ)精密工業も、政府の国内生産推進計画に応じてインド生産を開始した。だが22年までは、1年以上前のモデルを生産するか、新モデル発売後半年以上たってから生産していた。

主要サプライヤー、インド人員4倍に

現在はアップルの主要サプライヤーであるホンハイが、インド南部チェンナイ近郊のスリペルブデュールに持つ工場でiPhone 14シリーズを製造している。ロイターによると、ホンハイはインドiPhone工場の従業員数を今後2年間で4倍にする計画だという。

インドのバイシュナブ電子・情報技術相は、23年1月23日、アップルのインドからの輸出が22年12月に10億ドル(約1300億円)に達したとツイートした。

ホンハイの中国・鄭州工場(河南省鄭州市)では22年10月下旬に新型コロナの感染者が確認され、工場と宿舎内に隔離されていた従業員らが集団で脱出する騒動が起きた。

鴻海は人員補充のために新たな従業員を雇ったが、22年11月下旬にはこれらの新人工員が手当や衛生環境の不備などを巡り大規模な抗議行動を起こした。こうした中、アップルはサプライチェーン(供給網)の分散を図っている。

スマホ市場としてのインドに期待

一方、アップルにとってインドは製造拠点としてだけでなく、スマホ市場としても開拓の余地がある国だ。オランダの調査会社ニューズーによると、インドはスマホ利用者数で中国に次ぐ世界2位の国である。

香港のカウンターポイント・リサーチによればインドでのiPhoneのシェアは5%程度と、極めて小さい。だが、アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は長年、インド市場の可能性に期待してきた。

英フィナンシャル・タイムズは23年1月8日、アップルがインドで同社初の直営店をオープンするために人員を募集していると報じた。インド事業を拡大するとともに生産の多様化を目指し、中国への過剰依存から脱却する方法を模索しているという。

  • (本コラム記事は「JBpress Digital Innovation Review」2023年1月25日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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