アップルの手数料徴収は不当なのか?を考えてみる 人気ゲーム開発元が「独占的」と批判

(写真:ロイター/アフロ)

 先ごろ、米アップルがスマートフォン「iPhone」などのアプリ内で開催される有料のオンラインイベントなどのサービスに対し、手数料を徴収しない措置を取ると、米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが報じた。

2020年末までの限定措置

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で対面式のイベントを開けない企業に配慮した措置で、年末までの期間限定。これにはイベントのほか、オンラインの料理教室といった授業形式のものも含まれるという。

 アップルがアプリストア「App Store」を立ち上げたのは2008年。同社はそれ以降、手数料に関して明確な指針を示してきたが、今回のような措置は異例だとウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。

 アップルは音楽・動画配信や電子書籍、ゲームなどの「デジタルグッズ・サービス」で、開発者やサービス運営企業に自社の決済システムを利用するよう義務付け、それらの課金に対し手数料を徴収している。

 例えば、有料アプリやアプリ内課金の場合、アップルの取り分は販売額の30%、アプリ内のサブスクリプション型サービスは、1年目が同30%で、2年目以降が同15%となる。

 ちなみに米ベストバイや米ターゲット、ユニクロなどの「物販」や旅行や配車サービスなどの「物理的サービス」などのアプリでは手数料を取っていない。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米フェイスブックは8月、自社のアプリで有料イベントを開催できる機能を提供し、アップルに手数料の免除を求めた。

 しかし、この時点でアップルは要求を拒否したという。今回アップルが期間限定ながらも要求を受け入れた背景には、同社のアプリストア運営方針に対する批判の高まりがあるようだ。

人気ゲーム「フォートナイト」開発元との訴訟合戦

 人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズは8月13日、アップルの課金を回避する独自決済システムを導入した。これに対しアップルはフォートナイトを配信停止にする措置を取った。これを受けエピックは同日、アップルを提訴した。

 また、アップルは同28日にエピックの開発者としてのアカウントを停止。3次元(3D)ゲーム開発ソフト「アンリアルエンジン」を除くすべてのエピック製アプリの配信も停止した。こうした措置に対し、エピックは、「App Storeは独占的であり、課金システムの手数料は法外だ」と主張している。

 一方、アップルは9月8日、「エピックはApp Storeから莫大な価値を得ており、アップルの課金を回避するシステムの導入は契約違反だ」とし、損害賠償などを求めて反訴した。

 こうした中、米国の独禁当局や欧州の競争当局がApp Storeの独占的行為の有無に関する調査に乗り出している。米メディアによると、米マイクロソフトや米フェイスブック、スウェーデンのスポティファイ・テクノロジーといった他のテクノロジー企業からも不満の声が上がっているという。

 8月20日には米ニューヨーク・タイムズなどのメディア大手が加盟する米業界団体デジタル・コンテンツ・ネクスト(DCN)がアプリ内課金に関する手数料契約の見直しを求めた。

反対派が規制強化求める団体結成

 ただ、アップルは一定の譲歩も示している。9月11日にはApp Storeの規約を改訂し、複数のゲームをカタログ形式で提供するストリーミングゲームアプリの配信を条件付きで容認したと報じられた。

 また、オンラインの授業や医療相談、フィットネストレーニングなどを提供するアプリは1対1のサービスに限り、アップル以外の決済システムで課金できるようになるとしていた。

 それでも、同社に対する批判はいっこうに止まらないようだ。エピックやスポティファイなどの反対派は9月24日、「アプリの公平性のための連合(CAF)」と呼ぶ団体を結成。

 アップルが課す30%の「アプリ税」によって開発企業は著しく不利な立場に置かれているとし、アプリストア運営の規制改革を働きかけている。

米連邦地裁がアップルの削除措置を容認

 こうした中、アップルとエピックの訴訟を巡り、米連邦地裁がアップルのアプリ削除措置を容認する判断を示したと、ロイターなどが10月9日に報じた。地裁判事はアップルの反論に対しエピック側は十分に立証できていないとし、アップルの措置を維持する判断を示した。

 この訴訟の本格的な論争は来年に持ち越されることになるようで、しばらくはiPhoneなどのアップル製機器でエピックのアプリがダウンロードできない状態が続くと言われている。