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新型コロナで米欧の外食需要消滅、レストラン店内飲食、3月下旬から100%減

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 米欧などでは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、多くの自治体がロックダウン(都市封鎖)措置を講じた。これによりレストラン業界は窮地に追い込まれた。

 米ニュース専門局のCNBCによると、外食需要は「ゼロ」にまで落ち込んだという。

店内飲食、3月中旬に急減、下旬にゼロ

 米レストラン予約サイト「オープンテーブル」のデータを基にCNBCが報じたもので、これによると、店内飲食の客数は3月中旬から顕著な減少がみられ、同下旬から前年比100%減が続いた。

 これは、レストランにおける客数(着席飲食件数=オンライン予約、電話予約または当日来店)が前年の同じ週の同じ曜日から、どれだけ変化したかを調べたものだ。

 オープンテーブルの登録レストラン6万店のデータをまとめたもので、対象国は米国やカナダ、メキシコ、英国、ドイツ、オーストラリアなどとなっている。

 例えば米国では、2月時点で前年同週・曜日と比べ、ほぼ横ばいで推移していた。しかし3月9日に14%減、3月12日は28%減、3月15日は48%減、3月19日は98%減と推移。

 3月21日についに100%減になったと、オープンテーブルは報告した。それ以降に公表したこのデータの最終日である6月4日では、ほぼ8割減と依然大幅減が続いている。

 全米で最もレストランが多い都市の1つであるニューヨーク市では、3月7日から急減。3月17日に100%減となり、以降2カ月半以上にわたりほぼ100%減が続いている。

 CNBCによると、こうした状況の中、一部のレストランは、テイクアウトメニューに変更したり、ドライブスルー方式で営業したり、宅配サービスを始めたりした。しかし多くの店舗は閉鎖を余儀なくされたという。

米レストラン業界、年末までに26兆円の損失

 全米レストラン協会のレポートによると、状況はさらに悪化している。

 同協会が米国のレストラン経営者6500人以上を対象に4月10〜16日に行ったアンケート調査によると、今年3月、業界は見込まれていた売り上げの半分以上に当たる300億ドル(約3兆3000億円)超の損失を被ったという。

 また、4月の損失額は500億ドル(約5兆5000億円)以上になり、年末までに合計2400億ドル(約26兆3000億円)の損失が出ると予測している(全米レストラン協会のインフォグラフィックス)。

800万人以上が一時解雇や一時帰休

 新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以来、4割のレストランが閉鎖を余儀なくされた。800万人以上のレストラン従業員に対し、一時解雇や一時帰休の措置がとられたという。

 米国のレストラン従業員数は1560万人。全労働人口の1割を占めており、影響は大きいと指摘している(全米レストラン協会のインフォグラフィックス)。

  • (このコラムは「JBpress」2020年4月24日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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