信憑性高い「アップルが自動車開発中」の噂、WSJやFTなどの有力紙が報じる

米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)などの海外メディアによると、米アップルは同社ブランドの電気自動車(EV)を開発する秘密のプロジェクトを進めているという。

秘密の開発プロジェクト「タイタン」

このプロジェクトは「Titan(タイタン)」と名付けられ、現在数百人の従業員が携わっている。

同社はその第1段階としてミニバンに似た自動車の設計に取り組んでいるという。

これに先立ち、アップルのものとおぼしき実験車両が米シリコンバレーなどで目撃されたと報告され、同社が米グーグルと同様、自動走行車の研究を行っている可能性があるとの憶測が伝えられた。

英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、スマートフォンメーカーのアップルが自動車開発をしているなどという話は突拍子もなく、多くが一笑に付す。だがアップルの事情に詳しい関係者は、この話に信憑性があると述べているという。

ウォールストリート・ジャーナルも、プロジェクトの規模や関わっている幹部の顔ぶれを見ると、アップルは電気自動車に真剣に取り組んでいるようだと、伝えている。

これらメディア報道によると、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)がこのタイタン・プロジェクトにゴーサインを出したのはほぼ1年前のこと。

同社は昨年9月に「iPhone 6」と腕時計型ウエアラブル端末「Apple Watch」を発表したが、プロジェクトはその後しばらくして立ち上がったという。

自動車業界出身の重要人物を起用

これらの報道をまとめると、このプロジェクトには自動車業界出身の3人の重要人物が携わっている。

1人は、元米フォード・モーターのエンジニアで、iPodやiPhoneの開発チームの主導に携わった製品デザイン担当バイスプレジデントのスティーブ・ザデスキー氏で、タイタン・プロジェクトは同氏が率いている。

同氏は約1000人の従業員をアップルの様々な部署から引き抜くことを許されている。現在はカリフォルニア州クパチーノのアップル本社から数キロメートル離れた秘密施設で、ロボット工学や素材技術など、各種研究を行っているという。

2人目は、アップルの工業デザイン担当シニアバイスプレジデントジョナサン・アイブ氏の親しい友人であるマーク・ニューソン氏。

ニューソン氏は、フォードのコンセプトカーや、カンタス航空のエアバスA380機の内装を手がけたことで知られる著名な工業デザイナー。アップルは昨年同氏を雇い入れた。

3人目は、メルセデスベンツの北米研究部門「Mercedes-Benz Research & Development North America(MBRDNA)」のCEO兼社長だったヨハン・ユングウィルス氏。ウォールストリート・ジャーナルによると、同氏は昨年9月にアップルに移籍した。

こうしたベテラン勢の起用のほか、同社は製造に関しても動いている。

例えば前述のスティーブ・ザデスキー氏は、カナダの自動車部品メーカー「マグナ・インターナショナル」の子会社であるオーストリアの「マグナ・シュタイアー」など、高級車の委託製造業者各社と協議するため、定期的にオーストリアを訪れている。

アップルの技術、ダッシュボード以外の分野にも

アップルは昨年3月にiPhoneと連携する車載システム「CarPlay(カープレイ)」を発表した。

これは、大手自動車メーカーの車載情報システムや、パイオニア製カーナビゲーションシステムなどとiPhoneをコネクターでつなぎ、ハンドル上のボタンを押したり、スクリーンをタッチしたりして、iPhoneの様々なアプリを利用するというもの。

だが、同社が狙う事業領域はダッシュボードにとどまらないという。

米ビジネスインサイダーは、アップルの従業員の話として、同社が取り組んでいる最新プロジェクトは米電気自動車ベンチャー、テスラ・モーターズに対抗するものだと伝えている。

なお、アップルは最終的にプロジェクトの中止を決定する可能性があるという。

同社には、試作機を作るまで研究開発を続け、最終的に製品化を断念した事例がいくつもある。ただその場合でも、バッテリー技術や車載電子機器技術など、同社が研究する関連技術は、iPhoneやiPadなどの既存製品に役立つだろうとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

JBpress:2015年2月17日号に掲載)