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金正恩の愛娘「眼前で兵士ら十数人が墜落死」のおぞましい場面

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
北朝鮮軍の降下訓練で兵士が輸送機に引っかかったように見える(朝鮮中央テレビ)

韓国SBSニュースは5日、金正恩総書記が視察した軍の空挺部隊の降下訓練で事故が発生し、10人以上の死者を含む数十人の死傷者が発生したもようだと報じた。

SBSで北朝鮮問題を専門とするアン・ジョンシク記者は番組で、朝鮮中央テレビの映像を示しながら、次のように解説した。

「風が強く吹いており、軍人たちが輸送機から飛び降りるやいなや、パラシュートがほぼ水平方向に飛んでいくのを見ることができます。このように強風の中で降下したため、所々、パラシュートが絡まっているような様子が見えます。また輸送機の前方部分に人が引っかかったような姿も見えていますが、強風で飛ばされた軍人がまともに降下できないまま、輸送機に引っかかっていると推定される場面です。 軍人たちの安全を全く考慮しない、それこそおぞましい訓練だったようです」

北朝鮮では、弾道ミサイルの発射訓練でも似たような状況が発生したとされている。人命軽視は相変わらずだが、3月15日に行われた今回の訓練視察で金正恩氏は、名前が「ジュエ」とされる愛娘を連れていた。

(参考記事:【画像】「炎に包まれる兵士」北朝鮮 、ICBM発射で死亡事故か…米メディア報道

北朝鮮メディアは娘が双眼鏡をのぞく場面も公開しており、彼女のメンタルへの影響も憂慮される。

ただ、彼女については「後継者説」を論じる向きも少なくない。それが当たっているならば、恐怖政治に支えられた独裁者となるまでに、彼女はいっそう残酷な場面を数多く目にすることになるだろう。

SBSは、金正恩氏が娘を連れてきたことで視察がいっそう重要な政治行事となり、訓練を中止できなかったのでは、と解説している。

一方、同様のニュースを報じた中央日報によれば、降下訓練は天気の影響を大きく受けるため、韓国軍の場合、通常は17ノット=秒速8.7メートル以上の風が吹いている場合には中止すると伝えている。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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