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韓国で3年後に消滅するかもしれない「犬肉料理」

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
犬の格好をして犬肉を食べる習慣に抗議する韓国の動物保護活動家ら(写真:ロイター/アフロ)

 長年の食文化が終焉を迎えるかもしれない。韓国国会の農林畜産海洋水産委員会は20日、「犬食用の目的の飼育、屠殺及び流通等の終息に関する特別法」を議決したと韓国メディアが報じている。

 一般的に「犬食用禁止法」と呼ばれるこの法案だが、文字通り犬の食用目的での飼育、屠畜を禁じるもので、国会の法制委員会と本会議での採決を経て可決、成立すれば、3年の猶予期間を経た後に適用される。与野党ともに賛成していることから、成立が確実視されている。

 2027年からは市場、食堂などから犬肉は完全に姿を消し、廃業を迫られる業者には支援が行われる。業界は死活問題だとして、法案に反対しているが、世論の風向きは犬肉禁止に傾いている。

 2021年に世論調査機関のリアルメーターが行った世論調査では、「犬食禁止法を作るべきか」という問いに、反対が48.9%で、賛成の38.6%を上回っていた。

 一方、動物福祉問題研究所アウェアが2022年3月に、世論調査機関のエンブレイン・パブリックに依頼して、韓国人2000人を対象に行なった世論調査では、94.2%が「過去1年間に犬肉を食べていない」、88.6%が「犬肉を食べるつもりはない」と答えている。法制化の賛成、反対とは関係なく、既に犬肉食は風前の灯火なのだ。

 このように韓国では、アニマル・ライツ(動物の権利)が議論されているが、軍事境界線を挟んで向かい合う北朝鮮では、動物の権利はもちろん、人として生きる権利すらまともに保証されていない。

(参考記事:「愛猫を助けたかった」金正恩命令に逆らったある一家の悲劇

 当局は、国内への新型コロナウイルス流入を防ぐために2020年1月、国境を封鎖して、貿易を完全に停止させた。これにより深刻な食糧と物資不足に陥り、多くの人が飢えに苦しみ、中には餓死する人もいた。

 ペットに関しては、「猫が新型コロナウイルスを移す」という根拠の不確かな情報に基づいて、猫抹殺令が出された。また、国境など気にせずに行き交う各種野生動物も殺戮の対象となった。

 そもそも世界最悪の人権侵害国家と呼ばれる北朝鮮で、アニマルライツが尊重されることなどないのだ。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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