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「性的搾取は140億円規模」中国で売られる北朝鮮女性たち

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
北朝鮮の兵士(デイリーNK)

 2019年からこの問題の調査を続けているオランダの国際法律事務所「グローバル・ライツ・コンプライアンス」は4月23日、人身売買の被害に遭った脱北女性に関する報告書を発表した。

 同事務所が以前に出した報告書は、中朝国境沿いの地域にいる脱北者を15万人から20万人と推定したが、今回の報告書では、脱北女性だけでも数十万人に達し、その7〜8割が人身売買の被害者であるとした。

 新型コロナウイルスの世界的な流行により、中国から出国できなくなったことから、2020年からの期間中だけでも数千人の脱北女性が性売買や強制結婚の被害に遭っている。

 1人あたり数百ドルで売られた脱北女性は、中国人男性に買われ、強制結婚させられる。

 吉林省延辺朝鮮族自治州の中国人男性と結婚させられたある脱北女性は、結婚して1年経っても子どもができなかったため、夫に暴力を振るわれるようになり、頭を蹴られ続けたことで、深刻なトラウマを抱えることになったと証言した。

 人身売買により犯罪組織が手に入れるカネは、年間1億500万ドル(約140億8700万円)に達すると、報告書は推定している。

 同事務所のソフィア・エバンジェロ弁護士は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)とのインタビューで「北朝鮮の国境封鎖と中国の情報遮断により、中朝国境沿いの危険地域で起きている人権侵害が正確に伝わっていない。北朝鮮女性と少女たちは、性的、精神的虐待、性奴隷、強制労働に至る残忍な現実に置かれている」と述べた。

 エバンジェロ氏はこれ以上、北朝鮮の女性と少女への蛮行を見過ごしてはならないとし、国際社会に声を上げるよう求めた。

(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

 一方で中国政府は、脱北者問題に関して中国と北朝鮮の間の問題だとして、第三国の介入を拒絶している。当該地域の公安当局は、性暴力も違法な性風俗業も取り締まらず、脱北者の取り締まりは熱心に行っている。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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