金正恩氏に突きつけられた「罪と罰」…国連北朝鮮人権決議案が採択
国連の人権理事会は23日、日本とEUが共同提出した北朝鮮人権状況決議案を採択した。中国、ロシアなど一部の国が採択を離脱したため、無投票採択となったが、「公開処刑」や「政治犯収容所」などに代表される残忍きわまりない北朝鮮の人権侵害に対して、国際社会が改めてノーを突きつけた。
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核・ミサイル問題で対北朝鮮制裁が強化された直後の採択ということもあり、一部からは、強硬姿勢を貫く北朝鮮に対して、圧力をかける狙いがあるという説もあるが、これは違う。今回の決議採択に対して、外務大臣が談話で表明しているように、日本とEUは国連総会(第3委員会)に11年連続で決議案を提出しており、全てが採択されている。
とくに、2014年3月17日に国連人権理事会に提出された「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)」の最終報告書は、多岐にわたって詳細に作成されており、北朝鮮側が否定するのは極めて困難だ。
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さらに、今回の決議は以前よりも大きく違う点がある。国際刑事裁判所(ICC)などの活用に向け、人権侵害の責任追及に取り組む専門家グループを設けることなどが盛り込まれたからだ。つまり、北朝鮮の首脳部、とりわけ金正恩第一書記が「人道に対する罪」で責任を問われる可能性が出てきたのだ。ざっくり言えば、金正恩第一書記は、ナチス・ドイツのヒトラーやカンボジアのポル・ポトなど、世界史に残る独裁者と同様の烙印を押されかねない。
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30代で指導者になったばかりの金正恩氏が、いきなり残虐な独裁者のレッテルを貼られるのは、北朝鮮の国家運営において大きな支障となる。それだけでなく、最高指導者(金正恩氏)の権威、いわばメンツをなによりも重んじる北朝鮮体制にとって、決して許されることではない。だからこそ、北朝鮮の李スヨン外相は今月1日、国連人権理事会で「逆ギレ演説」を行ったのだ。
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しかし、いくら北朝鮮が悪あがきをしようとも北朝鮮自身が人権侵害の改善に取り組まない限り、評価は決して変わらない。国連の人権決議は、「このままではあなた(金正恩氏)はいつまで経っても国際社会から『北朝鮮のリーダー』として認められません。それだけなく、失格の烙印を押しますよ」と突きつけているわけである。こうした状況に最も苛立ちと焦燥感にかられているのは金正恩氏本人ではなかろうか。だからこそ、暴走を続けるのかもしれない。
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