「タバコ」と「ゲイ軍人」を通じて伝えたい「生身の北朝鮮」
本日、ヤフー個人に二本の記事をあげたが、いずれにも私が伝えたい「リアルな北朝鮮」を見るために持つべき視点を込めたつもりだ。
まずは1本目の「金正恩氏が北朝鮮で「消防法違反」の疑い」
本来なら火気厳禁の場所にもかかわらず、歩きタバコをしながら現地視察をする常識知らずの最高指導者に対する揶揄を込めた記事である。
よく考えてほしい。もし、日本の総理大臣が同じようなことをすればどうなるのだろうか?間違いなく全てのメディアから大バッシングされるだろう。なぜなら、日本の総理大臣は民主主義と日本国の法の定めの下で、国民によって選ばれた指導者だからだ。法によって選ばれた指導者は、法を守らなければならない。きわめて当たり前の話である。
ところが北朝鮮はそうではない。法ではなく血統に基づき、三代続く王朝政治によって選ばれた指導者には「法を守る」という概念すらないらしい。これに対して国内から異議はとなえられない。なぜなら恐怖政治で「言論の自由」を奪っているからだ。
もう一本の記事は「北朝鮮のゲイ軍人画像に世界が注目 前線で火を噴く「愛の砲火!!」」
北朝鮮を旅行した人が「同性愛者はいるのか?」と聞いたところ、彼らは「わが国に同性愛者など断じていません」と断言したという。詳しくはデイリーNKジャパンの「北の案内員「共和国に同性愛者はいません」」を参照してほしい。
しかし、この記事を読んでくれているほとんどの人は、「北朝鮮にだって同性愛者はいるはず」と思っていることだろう。いくら徹底的な思想教育を受け、北朝鮮特有の思考を強いられながら育とうとも人間である限り、日本や諸外国にあるのと同様の営みが存在するのである。もっとも、北朝鮮にいる同性愛者は口が裂けてもそれを言えない。個性を主張する自由がない中、「わが国に同性愛者はいない」という決めつけに抑圧されているからだ。
私たちの常識に照らせば、火器厳禁の場所で国家指導者がタバコを吸うのはあり得ないことであり、世界中に同性愛者がいるのは当たり前の話だ。
それが北朝鮮では、完全に逆転してしまっている。なぜか。
理由は多々あろうが、「北朝鮮は特殊だから……」との考えに呑まれ、正面から批判する人がいなくなってしまったことも一因ではないだろうか。
こういった「所詮、あの国なんでもありだから」という「あきらめ」や、「自由のない国だから仕方ない」という「決めつけ」は、北朝鮮独裁体制のやりたい放題の野放しにしている。核とミサイルの暴走は、その延長線上にある。
デイリーNKジャパンは、そうした「あきらめ」や「決めつけ」で北朝鮮を語ってはいけないと考えている。実際に、サイトを訪れてもらえれば、必ずそのことを実感してもらえるはずだ。