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藤井棋聖5連覇か、山崎八段初戴冠か――第95期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
今回の防衛戦に最年少永世棋聖の資格獲得がかかる藤井聡太棋聖(筆者撮影)

 藤井聡太棋聖(21)=八冠に山崎隆之八段(43)が挑戦する第95期ヒューリック杯棋聖戦(産経新聞社主催)五番勝負は6月6日第1局が千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われる。

 藤井棋聖は本シリーズに勝利すると5連覇で、最年少での永世資格(永世棋聖)獲得となる。挑戦者の山崎八段は2009年の王座戦挑戦以来15年ぶり2度目のタイトル挑戦。

 データを基に勝敗と展開を予想してみた。

<ヒューリック杯棋聖戦五番勝負日程>

第1局 6月6日 千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」

第2局 6月17日 新潟県西蒲区「高志の宿 高島屋」

第3局 7月1日 愛知県名古屋市「亀岳林 万松寺」

第4局 7月10日 兵庫県洲本市「ホテル ニューアワジ」

第5局 7月23日 静岡県沼津市「沼津御用邸東附属邸第1学問所」

上り調子の山崎八段

<藤井棋聖の最近10局>

3月17日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第4局

対伊藤匠七段 ○

4月7日 叡王戦五番勝負第1局

対伊藤七段 ○

4月10、11日 名人戦七番勝負第1局

対豊島将之九段 ○

4月20日 叡王戦五番勝負第2局

対伊藤七段 ●

4月23、24日 名人戦七番勝負第2局

対豊島九段 ○

5月2日 叡王戦五番勝負第3局

対伊藤七段 ●

5月8、9日 名人戦七番勝負第3局

対豊島九段 ○

5月18、19日 名人戦七番勝負第4局

対豊島九段 ●

5月25、26日 名人戦七番勝負第5局

対豊島九段 ○

5月31日 叡王戦五番勝負第4局

対伊藤七段 ○

<山崎八段の最近10局>

3月7日 順位戦B級1組

対近藤誠也七段 ●

3月19日 ヒューリック杯棋聖戦本戦

対森内俊之九段 ○

3月28日 王座戦2次予選

対藤本渚五段 ●

4月4日 ヒューリック杯棋聖戦本戦

対渡辺明九段 ○

4月10日 ALSOK杯王将戦1次予選

対安用寺孝功七段 ○

4月16日 ヒューリック杯本戦準決勝

対永瀬拓矢九段 ○

4月22日 ヒューリック杯棋聖戦挑戦者決定戦

対佐藤天彦九段 ○

5月1日 竜王戦1組

対久保利明九段戦 ○

5月10日 ALSOK杯王将戦1次予選

対齊藤裕也四段 ○

5月22日 竜王戦1組決勝

対佐藤康光九段 ○

 藤井棋聖はタイトル戦続きで、移動疲れが心配だが直近10局は7勝3敗と安定。カド番に追い込まれた叡王戦でも2勝2敗のタイに追いつくなど踏みとどまっている。

 山崎八段の直近10局は8勝2敗で現在7連勝と調子を上げている。実績は藤井棋聖が断然リードだが、挑戦者には勢いがあり好勝負が期待できそうだ。

角換わりか相掛かりの力戦中心か

 直接対決は過去2戦して1勝1敗の五分で2018年の王位戦予選では角換わりで山崎八段(後手)が勝ち、2021年の竜王戦決勝トーナメントでは相掛かりで藤井棋聖(後手)が勝っている。

 戦型は両者とも居飛車党のため最近の選択傾向からは藤井棋聖先手なら角換わり、山崎八段先手なら相掛かりに進むことが予想される。ただし近年のタイトル戦のように最新研究をぶつけ合う定跡系は山崎八段が選択しないので、序盤から前例のない「手将棋」の力比べになるはずだ。

 挑戦者はインタビューで「今回が最後の大舞台かもしれない」と述べており、全身全霊をかけて藤井棋聖に挑戦する覚悟を示した。棋史に残る五番勝負になることを期待している。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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