この夏も豪雨災害が相次いだ。今後は台風シーズンであり、鉄道への大雨による被害が多発することが予想される。

 8月11日ころから18日ころにかけて、東日本から西日本・九州にかけて線状降水帯が発生し、各地に大雨が降った。鉄道の運行は雨量が一定の値を超えたため、各地で不可能になり、どんな状況になっているのかすらわからなかった。どこで土砂崩れが起こっているのか、路盤流出が起こっているのか、あるいは橋りょうが流出しているのか、見当がつかない状況が数日間続いた。

 2018年の西日本豪雨では山陽本線で土砂流入や盛土崩壊が起こり、貨物輸送に大きな影響を与えた。その前年、2017年の九州北部豪雨では、久大本線が橋りょう流出、日田彦山線は土砂流入などが起こり、日田彦山線は結果として添田~夜明間は一部BRTのバス転換になる方向となっている。大雨で鉄路をなくしてしまうことになったのだ。

 その意味でもっとも深刻なのは北海道だろう。2016年の台風10号で被災したJR北海道根室本線の東鹿越~新得間は、廃止も視野の議論となっている。

 今回の豪雨では、そのパターンになる線区があると心配していた。

8月豪雨の被災状況は?

 まずは今回の豪雨での被災状況を主だったところから見ていこう。JR東日本では、中央本線の岡谷~辰野~塩尻間の辰野支線で土砂流入が発生した。この区間は特急こそ走っていないものの、飯田線へのアクセスルートとしてなくてはならない路線である。

 JR東海の飯田線も豪雨の影響を受けた。宮木~辰野間で橋脚が損傷、伊那新町~辰野、そこから直通する岡谷までのルートが失われた。復旧の見通しは立たない。中央本線では倉本~上松間で土砂流入、木曽平沢~贄川間で土砂流入があり、特急「しなの」が全線で運転できないだけではなく、貨物列車の運転も不可能になった。長野県への石油輸送は、多くを鉄道にたよっており、名古屋周辺からの輸送が困難になった。ただ東京周辺からの輸送が可能になり、名古屋周辺からのものも関東経由で輸送している状況となっている。

飯田線宮木~辰野間で橋りょうが被害(JR東海プレスリリースより)
飯田線宮木~辰野間で橋りょうが被害(JR東海プレスリリースより)

 被害が大きかったのはJR西日本だ。とくに影響が大きいのは、山陽本線の厚東~厚狭間の路盤流出や架線柱の倒壊である。貨物への影響が大きく、コンテナ貨物はトラック代行輸送となっている。以前の西日本豪雨のときと同じように、急いで復旧工事を行っているところだ。また呉線でも、安芸長浜~大乗間で川をくぐるトンネルがあるが、河床に以前の豪雨の際に設置していたシートが流され、安全確認が取れるまで運行を行わないとした。

 JR九州も被災した。久大本線ではこの豪雨で杉河内~北山田の第十玖珠川橋りょうで線路に変状が発生、ほかにも斜面崩壊や道床流出などが発生し、日田~豊後森間での復旧の見通しは立たない。久大本線では2017年の九州北部豪雨で橋りょう流出、2020年の熊本豪雨で同じく橋りょうが流出し、近年たびたび豪雨被害を受けてきた。そのたびに復旧を繰り返している。

 2020年の熊本豪雨で、肥薩線は大きな影響を受け、いっぽうでこの路線は利用者も少ないことから、復旧をどうするかが課題となり、線路がなくなる可能性も高い。

 今回の豪雨で、筆者はJR西日本の芸備線は大丈夫か、ということを考えていた。西日本豪雨や熊本豪雨で大きな被害を受け、区間によっては利用する人も少なく、何かあったら路線がなくなるのではないかという心配をしていた。芸備線では東城~備後落合間で雨が降り続き、運休が続いている。この区間は利用者が非常に少ない。

 今回被災したところは、以前も類似の区間で被災したところが中心となっている。

豪雨の影響を受ける箇所を洗い出し集中的に対策すべき

 たびたびの豪雨被害で、どこがどのように影響を受けるか、鉄道会社はわかっているはずである。山間部、橋りょう、あるいは水の被害に遭いやすいところばかりだ。土砂崩れや路盤流出、橋りょうへの被害と、だいたいは決まっている。

 近年、気候変動が激しくなり、大雨などの被害を受けやすくなっている。この傾向はこの先も続くことが考えられる。しかし鉄道の土木設備は、むかしからのものを補修しながら使用している。以前ならば起こらないような豪雨が、毎年のように発生している。その中で、鉄道を安定して運行させるには、被害を受けやすいところを集中して洗い出し、そこへの対策を行うしかない。政府も、予算をつけるべきである。