夜行列車は、人気がある。もちろん、ふだんは多くの人はその種の列車に乗ることはないが、存在自体は注目されており、鉄道ファンはなにかの機会に乗ろうとする。

 いまのこの国では、長距離の高速交通手段が発達しており、飛行機や新幹線ですぐに遠いところまで行くことができる。それゆえ、夜行列車は実用性の乏しいものとなってしまった。

 ただの郷愁かもしれない。しかし実用性には乏しいものの、多くの人のあこがれでもあった。

 夜行列車は、列車ダイヤ上の障害や、駅の人員などの問題、利益にならないという理由から、次々に廃止されていった。

 残る定期夜行列車は、「サンライズ瀬戸・出雲」しかない。もちろん、この列車も実用性に欠けている部分は多い。しかし希少な夜行列車として、わざわざ乗ろうとする人も多いのは確かだ。

クルーズトレインの人気が過熱、一方?

 そんな中で、「クルーズトレイン」と呼ばれる豪華夜行列車が、ツアー商品として販売されている。コロナ禍前は人気が高く、予約が取りにくかった。料金が1泊2日で37万円から50万円(JR東日本「TRAIN SUITE 四季島」の場合)と高額にもかかわらずだ。

 いっぽう、なんぼなんでも高すぎる、という意見もまた出てきた。気軽に乗れない、というのもあるだろう。

 そこでJR西日本は、2020年9月に「WEST EXPRESS 銀河」を登場させた。117系を改造し、昼行・夜行ともに対応させた車両に仕上げ、気軽に乗車できるような料金とした。

 関西から出雲方面を結ぶコースや、関西と下関を結ぶコースなどで注目を集めた。

 今回、関西と新宮を結ぶコースができたのは、新宮エリアの強い要望があったからだ。地元が誘致し、JR西日本がそれに応えたという経緯がある。またかつて165系急行型電車を使用した関西から新宮への夜行列車が運行されていたこともあり、そのことを思い起こさせるルートとして高い注目を集めている。

 運行開始前にはプレス向け試乗会が行われ、様々な媒体の記事が多くの読者に読まれた。ほかのルートよりも反響が大きかったといってよい。

 また最近、えちごトキめき鉄道が観光列車用に国鉄急行型交直流電車を導入したというニュースもあった。その車両を利用して、「夜行急行」を8月に運行する。えちごトキめき鉄道の場合は路線網が短いので、線区内を往復しながら直江津発着で運行する、という形態になる。

 この列車の場合、国鉄当時の車両をそのまま使用しており、まさにボックスシートの夜行急行をなつかしむものとなっている。

 創意工夫をしたイベント列車的なものならば、夜行列車は十分やっていけるのだ。

どこにどんな夜行列車を走らせる?

 ある程度路線網が広く、イベント的な列車に使用する車両も持っており、となると条件は限られてくる。JR北海道・JR東日本・JR九州だ。

 JR九州ならば、「36ぷらす3」を使用して座席夜行、とするのがいいだろう。夜行列車と「おもてなし」を組み合わせるというプランで、深夜の旅を楽しむというのがいい。駅弁などとセットで、というのもありだ。博多~小倉~宮崎といった、長距離運行が可能な区間もある。

 JR北海道ならば、キハ261系5000番台を使用した札幌から釧路・網走・稚内への夜行観光列車というのもありだろう。釧路なら朝市の観光、稚内なら宗谷岬へのバスツアーなどもセットにする。

 JR東日本ならいろいろと可能だろう。9月にE653系の国鉄色特急型車両を使用した上野~青森間のツアー列車が運行される。その車両を利用した座席夜行列車というのもいいだろう。

 また、E655系ハイグレード車両「和」(なごみ)を使用した上等な座席の夜行列車と「おもてなし」を組み合わせる、というのもありだ。もっとも多少お値段が張ってしまうが……。

 実用性のある夜行列車というのは難しいものの、「WEST EXPRESS 銀河」のスタイルで新しい夜行列車を考案できないかといろいろと考えてみるのも、また楽しいものである。ぜひみなさまもいろいろと発想していただきたい。