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すき間が大きく「危険」だったJR飯田橋駅ホーム 大がかりな移設で安全性向上

小林拓矢フリーライター
急カーブの上にあるJR東日本飯田橋駅(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 JR東日本の中央・総武緩行線の飯田橋駅を利用している人は、駅の案内放送でホームと電車の間に大きなすき間があることを何度も呼びかけられているだろう。この駅は曲線半径300mのところにホームが設置されており、とくに2号車から5号車あたりはホームの曲線と、1両20mの電車のギャップが大きく、降りる際に足元をよく見ないと大変なことになる。

抜本的な対策としてのホーム移設

 これまでに転落検知マットや注意喚起の回転灯などを整備し、転落防止の措置をとっていたものの、利用者からは改善を求める声が上がっていた。

 2014年7月にJR東日本は、飯田橋駅における抜本的な安全対策の着手に乗り出すと発表し、新宿寄りに200m移設し、直線化することになった。あわせて、西口駅舎を改良し、駅前広場を整備することになった。

 飯田橋駅は、1928年に中央線が電車線と列車線を分離し、複々線化した際に現在の位置にできた。近くには長距離列車や貨物列車が使用する飯田町駅があり、しばらくして長距離列車は使用しなくなったものの、貨物駅として長く使用され続けた。現在はホテルなどが建っている。

 当時の電車は、現在よりも小ぶりで、1両あたり17mの車両が中心であり、かつ編成両数も10両もなかった。そういった状況だとカーブの上の駅は問題ではなかったものの、20m車が登場、しかも10両編成と長編成化することで、飯田橋駅のホームの問題は顕在化していった。

 この状況が続く中、飯田橋駅東口は東京メトロや都営地下鉄との接続点となり、重要性は増していった。

 駅員に巡回させたり、監視カメラを増やしたりするものの、それでは抜本的な対策にならない。そこでJR東日本は、現在の位置より200m新宿寄りに移設することにした。

飯田橋駅ホームの移行状況(JR東日本プレスリリースより)
飯田橋駅ホームの移行状況(JR東日本プレスリリースより)

ホーム移設で何が変わるのか

 まず、新しいホームはほぼ直線上(曲線半径900m)にある。新西口駅舎が牛込橋と直結する橋上駅として存在し、その下に新ホームが設けられるという形になる。これで、ホームと車両とのすき間は、普通の駅と同じようになった。

 これまでは、傾斜をつけたカーブ上での停車だったため、斜めになって停車していた。それがホームとのすき間(カーブ内側の路線では)をさらに広げる。しかし直線上に停車するため、傾ける必要もない。

 東口から東京メトロなどへのアクセスはどうなるのか。これまでのホームは通路になり、柵が設置される。少し歩くことになるが、東口の駅舎はそのままだ。なお、これまでのホームの東京方は閉鎖する。

 安全に乗降できる駅ホームになり、これまでのホームにあった転落の可能性がなくなる。

 あわせて、西口が整備され、広いコンコースのある駅となる。駅2階フロアには商業施設も整備される。

 新しいホームは、7月12日に使用を開始する。安全な駅になった飯田橋駅は、とくに東口の利用者にとっては戸惑うことも多そうだが、長年の懸案が解決されるということであり、多くの人々の不安を解消することになるのではないだろうか。

フリーライター

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。鉄道関連では「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」などに執筆。単著に『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)など。鉄道以外では時事社会メディア関連を執筆。ニュース時事能力検定1級。

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