JR東日本「びゅうプラザ」全店終了 背景にあるネット充実と代理店の強さ

旅客サービスのあり方を変えようとしているJR東日本(写真:アフロ)

 2022年3月末をめどに、JR東日本の各駅から旅行センター「びゅうプラザ」がなくなる。すでに閉鎖した駅も多くある。「みどりの窓口」の撤退駅が増えることも合わせ、JR東日本は対面サービスを縮小させようとしている。

「びゅうプラザ」の役割とは

 駅できっぷを対面で販売するだけなら、「みどりの窓口」がある。「びゅうプラザ」などのJR各社の駅の旅行センターは、「みどりの窓口」以外の旅行に関するさまざまな役割を引き受けていた。

 だが「びゅうプラザ」は市中の旅行代理店よりも、旅行に関してできることが少なかった。2011年には国内航空券の販売を終え、おそらく海外航空券は「びゅうプラザ」では扱っていなかったのではないだろうか。パックツアーの販売も、JR東日本管内の行き先のものが中心で、その他のものは他社のものを委託販売していたものが多かった。

 そういった意味では、市中の旅行代理店よりも商品の魅力に欠け、できることも少なかった。

 加えて、旅行センターでないとできないような複雑なきっぷの扱いがもはや必要となくなってしまった、というのもある。かつては「一般周遊券」という各周遊地をまわって旅行をするきっぷがあったものの、1998年に廃止となった。「ワイド周遊券」などの周遊券も含めて同年に「周遊きっぷ」というものができたものの、2013年になくなる。

 あとは各種フリーきっぷが残るだけであり、旅行センターが駅にある必要もなくなってしまった。

 発券に複雑な手間を要するきっぷがなくなったため、旅行センターを鉄道会社が提供する必要性も、なくなっているのだろう。

 宿泊先の予約などは市中の旅行代理店のほうが強く、パッケージツアーもバラエティに富んでいる。

 きっぷをめぐる環境の変化や、商品の性質を市中の旅行代理店と比較された場合などを考えると、どうしても弱かったことは否めない。

旅行センターの楽しみがインターネットに奪われた

 旅行代理店や駅の旅行センターにはよく、各種パッケージツアーや観光地の案内がある。しかしいまや、こういったものは旅行代理店や鉄道会社のウェブサイトで見ることができるのだ。

 店頭で「今度はどこに行こうか」と考えることが、いまやスマートフォンでできるようになってしまったのだ。その後、きっぷの購入のみならず、パッケージツアーなどの購入もスマートフォンでできる。

 そういった計画を立てる楽しみまでもがインターネットで完結するため、「びゅうプラザ」のようなサービスは役割を終えてしまったのだ。

 さらに、JR東日本は2022年春で旅行業のシステムを刷新し、オンライン販売商品「ダイナミックレールパック」に特化する。「使いにくい」と言われていた指定券予約サイト「えきねっと」は21年春に機能強化する。

旅行代理店としての「びゅうプラザ」の弱さ

「びゅうプラザ」は、旅行代理店としては法人営業が弱く、このあたりはどうしても既存の旅行代理店が強い。加えて、各旅行代理店もインターネットで個人の顧客に直接販売するようになり、こことの競争でも強みを見せられなかった。鉄道会社直系のサービスであるがゆえに、どうしてもその鉄道会社と絡んだものが中心となり、自由な発想で旅行商品を提供することができなかった。

 また、駅での宣伝を中心にしていたため、新聞などの広告も少なく、JR東日本沿線以外での広まりを欠いていた。

 このあたりの弱さも、「びゅうプラザ」がなくなる一因だったのではないだろうか。

 もし「びゅうプラザ」で旅行の相談をしていたという人がいたら、これからは市中の旅行代理店を使用してほしい。一般の旅行代理店でも、JR券の発行は可能であり、新幹線や航空機と組み合わせたパッケージツアーなども充実している。そしてその旅行代理店は、「びゅうプラザ」よりもいろいろなことができるので、「びゅうプラザ」の役割を十分に果たすだろう。

 インターネットが使用できる人は、すでに鉄道・旅行各社ともネット対応が充実しているので、それを使うのがいいだろう。

 時代の変化の中で、役割を終えたサービスがある。「びゅうプラザ」も「顧客接点型拠点」に転換するという。原因はサービス内容の「弱さ」にあるが、必要のなくなってしまったものだともいえる。