今夏も運行「ムーンライトながら」 消える夜行快速、残る「ながら」の今後は?

定期列車時代の「ムーンライトながら」(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

 この夏も夜行快速列車「ムーンライトながら」が運行されることが決まった。東京発は8月1日から17日まで、大垣発は8月2日から18日までとなっている。しかし、昨夏は23往復、以前は30往復あったこの列車も、この夏は17往復となってしまった。過去に比べて、減少しているのだ。

 加えて今回の告知は、JR東日本のプレスリリースには掲載されず、JR東海のプレスリリースにのみ掲載されていた。これから「ムーンライトながら」は、どうなっていくのか。

体制に変化があったわけではない

「ムーンライトながら」は、185系特急型電車10両編成が使用されている。ふだんは、「踊り子」などの特急列車に使用されている車両だ。185系は汎用性が高く、団体列車などにも使用されることが多い。

 JR東海のプレスリリースのみに掲載されているため、東海の車両が使用されるように体制の変化があったのか、とJR東海に問い合わせてみると、「そういった変化はない」という返答があった。従来どおり、185系10両編成が使用されることになる。大宮総合車両センターの車両から、グリーン車や一部の普通車を抜き出し、残りを普通車だけの車両として連結したものである。

 ただ、本数が減っているのは確かだ。加えて、国鉄時代に製造された185系がどうなるのか、ということも気になってくる。

 もともと「ムーンライトながら」は、「大垣夜行」として親しまれていた165系急行型電車使用の夜行普通列車を1996年3月に指定席化したものであり、JR東海の373系特急型電車が使用されていた。定期列車として「青春18きっぷ」の時期には人気があったものの、2009年3月に臨時列車化、それ以降はJR東海の車両が使用されることはなく、JR東日本の183・189系特急型電車が2013年夏まで、それ以降は185系が使用されるようになっている。

かつて多くあった夜行快速列車

 JR発足後だいたい90年代から、「青春18きっぷ」を使用した利用者や、夜間のそれほど長距離でもない利用者を対象にした高速バス対抗型の夜行快速列車が登場した。札幌~函館間の「ミッドナイト」や、新宿~新潟・村上間の「ムーンライトえちご」、京都・新大阪~博多間の「ムーンライト九州」、京都と下関・松山・高知を結んでいた「ムーンライト山陽・松山・高知」など、「青春18きっぷ」の時期には多くの利用者を集めていた。これ以外にも、新大阪~新宮間の165系を使用した夜行普通列車が運行されていた。東京~大垣間の夜行列車は、「救済夜行」といわれる臨時列車が出るほど人気の列車であり、「ムーンライトながら」が定期列車になっても、臨時列車として運行されていた。こちらの臨時列車ものちに指定席化される。

 これらの列車は、しだいになくなっていく。車両の老朽化に加え、列車によっては機関車牽引列車であり、機関車の老朽化や電車とは異なる免許を必要とする機関車の運転士の確保などの問題が発生してきたからだ。

「ムーンライトながら」の未来

「ムーンライトながら」では、国鉄時代につくられた185系が使用され、この車両自体はE257系特急型電車への置き換えが予定されている。中央本線の「あずさ」「かいじ」で使用されていた車両が、大きく改造されて「踊り子」に使用されるようになる、ということになっている。

 この列車に使用される185系は、JR東海の自動列車停止装置「ATS-PT」に対応している。修善寺直通の「踊り子」なども対応しており、この車両を運転する運転士もJR東海にはいる。

 しかしE257系をそのまま「ムーンライトながら」に使用するとなると、JR東海の自動列車停止装置に対応したり、運転士の訓練が必要となったりという問題点が発生する。

 また、「踊り子」が185系からE257系へと置き換えられる中で、修善寺直通の編成を残すのかどうかということも焦点になる。もし修善寺直通をやめた場合、JR東海にE257系の運転をできる人がいないということになり、「ムーンライトながら」のために運転士を訓練させるかという問題が起こってくる。未来は厳しいという予想は、容易に立つ。

 これまで夜行快速列車は、多くの人を鉄道旅行の旅に目覚めさせ、ファンも多い。しかし、この春を最後に「ムーンライト信州」もなくなってしまった。唯一の列車となった夜行快速列車を、なんとかして続けてはいただけないものだろうか。