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「ONE PIECE FILM RED」応援上映4つの約束公開、マナー動画に期待される様々な効果とは

小新井涼アニメウォッチャー
映画館内装飾(筆者撮影)

昨年公開され、国内興行収入197.1億円の大ヒットを記録した映画「ONE PIECE FILM RED」。

来月10月20日から1ヶ月限定でアンコール上映される本作が、併せて実施される声だしOKな「応援上映」を前に、とある動画を公開し、注目を集めています。

応援上映とは、映画の上映中にサイリウム等を用いた応援が許可された特別興行のこと。

本作でも、昨年からの上映期間中に「ウタLIVE in 映画館」として実施されていましたが、声出し解禁前であったために、当時は無発声応援上映の形で行われていました。

そんな「ウタLIVE in 映画館」が、この度イベント等での声出し解禁を経て改めて発声有りで実施されるということで、以下で紹介する、応援上映をより楽しむための“仁義(マナー)動画”声が出せる応援上映4つの約束が公開されたのです。

■応援上映4つの約束

応援上映にて、本編上映前にも流されることの多いこうしたマナー動画。

本作では、「ONE PIECE」の登場キャラクターによって、以下に要約できる4つの約束が紹介されています。

  1. 周りの人や、スクリーン内のキャラクターが悲しむような応援はお控えください
  2. 周りに迷惑をかけるアイテムや、長いものや尖った物の持ち込みは禁止です
  3. 興奮して立ち上がる、暴れるといった行為は禁止です
  4. 応援するのはどこでも自由ですが、歌やセリフもしっかり聞いてくださいね

作品公式によりYouTube等で改めて公開された実際の映像はこちらです。

上記の4つの約束や動画をみて、応援上映に通い慣れた人の中には、とある作品を思い浮かべた方も少なくないのではないでしょうか。

実は映像の最後にも記載がある通り、本映像は今の形で日本に応援上映が普及・定着する大きなきっかけとなった作品「KING OF PRISM」シリーズの協力をはじめ、シリーズのファンによる力添え等を経て生まれた背景もあり、当該作品の応援上映で流れる4つの約束とも、共通点の多い映像となっています。

■マナー動画に期待される様々な効果

作中のキャラクターが応援上映の楽しみ方を教えてくれるということで、応援上映が初めての人にも、通い慣れた人にも嬉しいこうしたマナー動画ですが、恐らく他の作品達と同様に、本作でも応援上映の本編上映前に流れるのではないかと仮定すると、実はその他にも様々な効果が期待できるものでもあります。

たとえば、実はこの動画の中にも発声できる箇所が多々散りばめられているので、そこで声を出すことで、これから始まる応援上映を前にボルテージを上げることができますし、応援上映に初めて参加する人にとっても、どのタイミングでどんな応援ができるのかを知るのにぴったりな時間ともなります。

また、応援上映が登場した当初は、自由に応援できるからこそ、ツッコミ感覚の発言が行き過ぎて茶化しているようになり、周りの参加者が悲しい気持ちになってしまうような出来事も少なからず生じていましたが、上記の約束1などが含まれるマナー動画が定着した後は、そうした事態も減っていきました。

もうひとつ期待される効果として大きいのが、その上映回が応援上映と知らずに鑑賞している人とのトラブルの減少です。

特別興行とはいえ、応援上映は普段とは異なる方法でチケットを購入して、希望する人だけが参加できるファン向けのイベント等と違い、通常の映画と同様に座席チケットの購入ができ、誰でも鑑賞できる上映回であることがほとんどです。

そのため、時にはその回が応援上映であることを知らずに参加してしまう人もいるのか、そうした観客からサイリウムの使用や発声をする人が苦言を受け、応援をする人が悲しい思いをしてしまうといったことも度々報告されてきました。

周りがみんな応援をしている中でそんなことが起こり得るのかと、不思議に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、上映時間や上映劇場によっては観客がまばらな上映回等もありますので、そうした状況では十分に起こり得ることでもあります。

本編上映前に流れるマナー動画は、そうしたトラブルを防ぎ、参加者みんなが安心して応援に参加できる効果も期待できるのです。

今では様々な作品で実施されるほどすっかり定着してきた応援上映ですが、それでもまだ参加したことの無い人にとっては未知の世界でしょうし、作品によっても細かなレギュレーションや慣習は変わってくるので、実は通い慣れた人にとってもいつまでも変化を続ける新鮮な体験でもあります。

そんな中、こうしたマナー動画は、「応援上映はこうでなきゃいけない!」と厳しいルールを押し付ける…というよりは、参加者みんなが安心して応援上映を楽しめるよう、最低限気をつけて欲しいことを伝えた上で自由に応援する場を提供してくれる、重要な存在にもなっているのです。

作品毎に様々な応援が生まれている中、新たに応援上映4つの約束が加わった「ONE PIECE FILM RED」の発声応援上映ではどのような応援が生まれてくるのか、大ヒット作品の新たな盛り上がりに、改めて注目が集まります。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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