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「ひろがるスカイ!プリキュア」キュアウィングのグッズ展開を巡る神対応?生まれた様々な声

小新井涼アニメウォッチャー
AnimeJapan 2023内展示(筆者撮影)

現在放送中のアニメ「ひろがるスカイ!プリキュア」にて、シリーズ初となる男の子のレギュラープリキュアとして活躍し、注目を集めるキャラクター・キュアウィング。

そんなキュアウィングのグッズ展開について、先日ファンの間でとある問題提起の声があがり、公式側からも恐らくそこへの対応が含まれているであろう声明が発信され、話題となりました。

更にはこうした一連の流れを受けて、ファンの間では新たな問題提起など様々な声も生まれているようです。

一体何が起き、どんな声があがっているのでしょうか。

■グッズ展開を巡る一連の経緯

大きなきっかけとなったのは、今週末まで池袋で開催されているイベント「ひろがるスカイ!プリキュア おでかけ!ひろがるワールド!」内にある、プリキュアの衣装で記念写真が撮れるコーナー。

そこで用意されていた衣装のラインナップに、レギュラープリキュアの中でキュアウィングだけが含まれていなかったことに「なんでキュアウィングだけ」と、人々から厳しい声が集まったのです。

ファンには辛いですが、沢山のメインキャラクターがいる作品で一部のキャラのグッズだけが展開されないということ自体は、プリキュアに限らずよくある話ではあります。

しかし今回のキュアウィングに関しては、前述の通り男の子では初のレギュラープリキュアとして話題になっていた分、誰でもプリキュアになれると希望を与えながらも現実では変身衣装のグッズ展開がない事に、失意や疑問の声がより一層あがっていたようです。

もちろん、男の子でも衣装が用意されていた他のプリキュアに変身することもできますし、女の子でもキュアウィングに変身したくてがっかりした子もいると思うので、キュアウィングが男の子のプリキュアであることはグッズ展開に直接関係ないかもしれません。

それでも、問題視する声は一時SNSでトレンドに表示されるほど大きくなっていき、数日後、今回ラインナップに含まれていなかったキュアウィング衣装のグッズ展開のお知らせ、及び作品公式から、今回の件も踏まえてのことと思われる、上記声明が発表されたのでした。

■生まれた様々な声

上記の結果を受けて、SNSでは「みんなの声が届いた」「公式神対応」といった喜びの声も多くあがりました。

しかしその一方で、今回の件をファンの成功譚としてばかり語ることを疑問視する声もあがっています。

もしもグッズをいちから企画製作、発売するとして、それはキュアウィング衣装を求める上記の声を受けてからものの数日でお知らせできるようなことではありません。

つまりいずれ発売しようと既に製作されていたグッズのお知らせのタイミングを、今回の件を受けて早めざるを得なかっただけではないか?という声が少なからず生じたのです。

あくまで推測の域を出ませんし、予定していたならそれを少し早めたくらい…とも思われるかもしれませんが、プリキュアのように玩具等と共に一年をかけて展開するシリーズについては、アニメの展開や人々の反応に合わせて新規グッズの発売タイミングはある程度計画もされていることでしょう。

その意味では、元々計画されていた予定を変えてまでグッズを求める子供達に応じたのだとしたら、確かにそれは公式側の“神対応”といわれて然るべきかもしれません。

しかし今回の件を、ファンが声をあげた自分達の功績とばかり捉えてしまうことは、「みんなの声は届く」がエスカレートし、「大きな声を出せば思い通りになる」という人が増えることにも極端な話繋がるのではないかと、同じファンの側から危険視する声もあがったのだと思います。

キャンセルカルチャー等もすっかり定着し、アニメ界隈へも多大な影響を及ぼすほどSNSでの声が大きくなった昨今。

これまでは、対応があるかも分からない各種問い合わせ先へ伝えるしかなかったファンの声が容易に届き、すぐに対応までされるようになってきたことは、確かにポジティブな面もあります。

しかし作品側ばかりが圧倒的な影響力を持ちすぎることに問題があるように、ファン側ばかりが圧倒的な影響力を持ちすぎることにも全く問題が無いとはいいきれません。

今回の件で生まれた同じファンからの様々な声や作品側の対応は、SNSを介してこれまでにないファンと作品との関係性が構築される中、改めてその両者のバランスの重要さと危うさについて考えさせられるものでもあったように思います。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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