募る不安『もしもTwitterが無くなったら…』考え得るアニメ界隈への影響
イーロン・マスク氏による昨年10月の買収以降、急な方針転換や仕様変更が頻発し、それに伴う混乱も絶えないTwitter。
先日も、イーロン氏の保有企業との合併により、社名としてのTwitterが無くなったことを受け、一時“Twitter消滅”※がトレンドを賑わせるなど、ユーザー間でも不安が広がっています。
情報の収集や発信、交流の場として、特にその利用が欠かせないアニメファンの間でも、“急に使えなくなったらどうしよう”、“移転先の新たなSNSを探した方がよいのか”と、日々心配する声があがるようになりました。
数あるSNSのひとつでしかないはずのTwitterですが、アニメやアニメファンにとっては現在どのような役割を持ち、万が一これまで通りの利用が出来なくなった場合、どのようなことが起こり得るのでしょうか。
- ※社名としてのTwitterは無くなったが、サービスとしてのTwitterは今も存続中
■アニメやファンにとってのTwitterの役割と位置づけ
アニメ(製/制作側)やアニメファンにとってのTwitterの役割自体は、なにも特殊なものではありません。
上述の通り、主に新しい発表がある際に情報を発信する、その情報を拡散・共有する、ユーザー同士で交流する等があげられ、そうしたやりとりがテレビや雑誌といった他の媒体と比べて、次々と即自的に行われていくのが特徴です。
ではなぜ、他にも様々なSNSがある中で、特にTwitterがアニメやアニメファンに重視されているのかというと、一番の理由は、現状アニメの情報を求める人が最も集結しているSNSであるからだと思います。
つまり、製/制作側にとっては発信した情報を届けたい層に一番届けられる場所として、ファンにとっては欲しい情報を得るにはまずここを押さえておけば間違いない場所として、それぞれ重宝されているのです。
もちろん現在は製/制作側やファンも、Twitterだけでなく、FacebookやTikTok、Instagram等、複数のSNSを運用していることもあります。
しかしそうだとしても、運用の主軸はまずTwitterに置かれ、その他のSNSは補足的に使用されていることがほとんどです。
■もしもこれまで通りの利用が出来なくなったら…
ではそんなTwitterが、規約や仕様の変更でこれまで通りの利用が出来ず深刻なユーザー離れが進んだり、万が一、急な運営元の方針転換でサービスが終了してしまったりしたら、アニメ界隈では一体どんなことが起こり得るのでしょうか。
一番に考えられるのは、これまでTwitterでの口コミやトレンド入りなどが大きな後押しとなっていたような、作品ファンの垣根を越えたボトムアップ的な盛り上がりが生じにくくなることです。
今Twitterを使っている製/制作側やファンがそのまま移転するような、新たな主軸となるSNSが登場すれば話は別ですが、そうでなければ、各作品、各ファン単位等でメインとなるSNSは分散してしまうことでしょう。
そうなると、ダイレクトに情報が届く母数はこれまでより少なくなりますし、何よりリツイートなどを通じて、別の作品の情報が作品ファンの垣根を越えて他の作品のファンにまで届くという、偶発的な広がりも生じにくくなってしまいます。
すると、たとえば一昨年の「PUI PUI モルカー」のように、Twitter上でファンアートや考察と共に話題が広がって予想外の盛り上がりを生んだり、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」や「金曜ロードショー」のアニメ映画のように、リアルタイム放送時のトレンド入りが作品の盛り上がりをより一層後押ししたり…といったことが難しくなってくることが考えられるのです。
そもそもの話、それだけ今アニメのSNS運用がTwitter一本に集中しすぎていることも憂慮すべき点ではあるのかもしれませんが…実際問題、昨今はそうしたTwitter発の推進力もアニメ界隈全体の盛り上がりには欠かせないものとなってきているので、その環境が瓦解してしまうかもしれないことは、やはり一番の懸念点になってくると思います。
たとえ杞憂に終わるかもしれない心配事だとしても、実際に急なアカウントの凍結や様々な不具合、APIの有料化による外部サービスの仕様変更等が次々と起こっている現状では、利用者の不安が生じてしまうのも無理はありません。
そんな中、一時期話題になったMastodonや新たに生まれたBlueSkyといった、次なるTwitterのポジションを狙うSNSの動きも活性化しています。
そうした状況下で、今後アニメやアニメファンのSNS運用においてはどんな変化が起きていくのか…。引き続き、注視していく必要がありそうです。
※2023年4月21日14:42表記揺れ修正