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「呪術廻戦」のMAPPAが手掛けた話題の冬アニメ「とんでもスキルで異世界放浪メシ」気になる海外の反応

小新井涼アニメウォッチャー
(写真:イメージマート)

最終回を迎えたばかりの冬アニメ「とんでもスキルで異世界放浪メシ」。

「呪術廻戦」や「チェンソーマン」でもお馴染みのMAPPAが手掛ける異世界×グルメものということで、夜中に視聴するにはあまりにも刺激が強すぎる力の入った料理シーンが話題にもなりました。

そんな中、個人的に気になったのが、こうした料理シーンへの海外からの反応です。

作品に出てくる“生姜焼き”や“親子丼”といった料理は、慣れ親しんだ文化圏の人にはその味も想像しやすいですが、恐らくあまり馴染みのない料理も多い海外のアニメファンからは、作中のリアルな料理の映像に対して一体どんな反応が起きていたのでしょうか。

英語圏の反応を中心に概観してみました。

■「とんでもスキルで異世界放浪メシ」とは

本作は、異世界に召喚された普通のサラリーマンである主人公が、固有スキル“ネットスーパー”を使い、現代社会からお取り寄せした商品や異世界の食材などを使って料理や冒険、商いをしていく、異世界グルメファンタジーです。

前述の通り、映像評価の高いMAPPAが描くグルメものということで注目されたことに加え、イオンやエバラといったお馴染みの企業が数多く協力企業として参加し、作中に実在の商品も数多く登場する、いわゆる“プロダクトプレイスメント”も話題になりました。

それもあって、ただでさえリアルな料理シーンに“エバラ生姜焼きのたれ”などが登場したりと、よく知る視聴者にとってはよりリアリティもたっぷりでしたが、海外からみればある意味ローカルネタともなるそうしたグルメ描写は、どのように受け取られたのでしょうか。

■料理シーンへの反応は世界共通?

公式動画等へのコメントを概観してみると、その料理や使われている商品が何であるのかを気にするよりも、やはりまずは、制作陣が手掛ける料理描写の精密さに驚き、称賛する声が多く見受けられました。

  • 動画のコメント欄では世界のアニメファンからの人気も高いMAPPAのアニメと気づいた層が、このアニメのタイトルは?といった質問をする様子もみられます

他にも、実際の料理番組をみているよう、画面越しに匂いがする…といった反応や、お腹が空いた、お腹が空いている時にみない方がよい…といった、日本のアニメファンと変わらない反応も多くみられました。

既に他のグルメアニメ等で料理に馴染みのあるファンも少なくないのかもしれませんが、たとえ異なる食文化圏であっても、作られている料理が何であるのかといった疑問以前に、目に美味しいアニメ映像には世界共通のリアクションが生まれるようです。

アニメファンも多く利用する英語圏の巨大掲示板・Redditを覗いてみると、そこではより深掘りしたディスカッションも繰り広げられていました。

作中で実在の商品が使われていることに気づくだけでなく、それぞれで使われた商品がイオンやエバラ、サントリーの商品であることに気づく人もいたり、oyakodonやwagyu、gyudonという単語も普通に使われています。

かといって、皆が皆それらの食品の味に慣れ親しんでいるということでもないようで、中にはwagyuを食べたことがあるというユーザーにどんな味かと質問が飛び、それに対して様々な説明が行われるような一幕も見受けられました。

■再現動画やこだわりも…

料理シーンへの反応には、公式動画や掲示板でのコメントに止まらず、世界のユーザーが実際にその料理を作ってみた動画の投稿も見受けられました。

ほとんどがファンメイドの動画なので直接の引用は避けますが、YouTube等で本作英語タイトルの“Campfire Cooking in Another World with My Absurd Skill”で検索すると、それらの動画も発見できます。

いくつかの食材は、日本で手に入るものとは違った見た目をしているものが使われていたりもしますが、中にはアニメで使われているのと全く同じ“エバラてりやきのたれ”をしっかり準備して使用している動画もありました。

個人的に気になっていた“生姜焼きのたれ”も、メーカーは違うながらもしっかり日本の“生姜焼きのたれ”が使用されている動画がみつけられます。

中には、たれはBBQソースで代替可能かといった動画へのコメントに、濃すぎるのでみつからないなら作り方を探してみるよう勧めるリプライがついていたり…こうした世界のファンの反応からは、出来るだけ作中と同じ味を再現してみたいというこだわりも感じられました。

あくまで個人的に調べた中で発見できた一部の反応ではありますが、食の文化的背景に多少の違いはあれど、本作の料理シーンへの海外からのリアクションは、日本のアニメファンからのものとも近しく、グルメ描写も興味深く受け取られているようでした。

そしてそうなると意外に大きくなってくるのが、前述した“プロダクトプレイスメント”の効果です。

もちろん、日常的に利用できる日本国内の視聴者に向けての宣伝がメインかとは思いますが、世界での人気も高いMAPPA作品であることに加え、紹介したようにしっかり企業名や商品を特定・把握している世界のアニメファンもいることをみると、その影響は予想外のところにまで届いているのではないでしょうか。

多くの作品が世界で同時視聴され、情報にも簡単にたどり着ける現在、こうしたプロダクトプレイスメントの効果によっては、もしかしたら聖地巡礼などと同様、いつか日本に来たらその商品を買ってみようと思う海外のアニメファンも、今後増えていくのかもしれません。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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