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今夜サトシとピカチュウの物語最終章突入、アニメ「ポケモン」主人公交代はどれほど衝撃的なのか

小新井涼アニメウォッチャー
池袋サンシャインシティ・アルパ内装(筆者撮影)

昨年25周年を迎えたアニメ「ポケットモンスター(以下「アニポケ」)」。

その主人公サトシと相棒のピカチュウの物語が、今夜から放送の「ポケットモンスター めざせポケモンマスター」全11話で一旦終わりを迎え、4月以降新たな主人公での新シリーズがスタートすることが先月発表されました。

これまで25年以上、変わらずそこにありつづけたサトシとピカチュウの物語の終わりには、世界中の「アニポケ」を知るあらゆる世代の人々から大きな反響が起こり続けています。

とはいえ一体このことは、どれほど衝撃的な出来事なのでしょうか。

■アニメ作品全体でみても異例?

現在放送されているアニメの中でも、いわゆる長寿番組に分類される「アニポケ」。

1997年4月から放送が始まった本作の歴史は、同じ長寿番組の中でも、「ONE PIECE」(1999~)や「おじゃる丸」(1998~)より長く、「名探偵コナン」(1996~)等に次ぐものとなっています。

こうした番組達と並べて、もしその主人公が交代したら…と想像してみると、作品にあまり触れたことのない人にも、今回のサトシの交代がいかに視聴者に驚きを与えたのかは窺えるかと思います。

また、同じく長く続く「プリキュア」や「遊☆戯☆王」、「デュエル・マスターズ」や「妖怪ウォッチ」シリーズ等といった、ゲームや玩具、TCGの展開等と関わりの深い作品は、同じ長寿番組でも、時勢やトレンドに合わせて主人公の世代交代が行われることがほとんどです。

そんな中、本作は新しい原作ゲームのタイトルが発売されても、旅の仲間達の変化等はあれ、主人公とその相棒はサトシとピカチュウのまま、25年以上変わらず続いてきました。

そのため、タイトルに主人公の名前こそ冠してはいないものの、「アニポケ」=“主人公はサトシ”という印象が、どの世代の視聴者にも共通しているという珍しい作品でもあります。

こうしてみても分かる通り、これほどまでに作品と主人公の印象が結びついた長寿番組が主人公を交代するというのは、アニメ作品全体でみても、かなり異例の出来事でもあるのです。

■どれほど衝撃的か

そうした客観的な事実としてはもちろん、これまでアニメを視聴してきた人達にとっても、今回の主人公交代の驚きは計り知れないものでした。

ご存知の通り、今や「ポケットモンスター」は原作ゲームをはじめ、様々なアプリ/アーケードゲームやTCG、リアルイベントやテーマパーク等々、非常に幅広い展開があるので、「ポケモン」ファンだからといって全員が毎週アニメを視聴しているとも限りません。

また、長くシリーズが続く中で、新しく視聴を始める人もいれば、成長と共に番組を卒業し、しばらくアニメから離れているという人もいるでしょうし、同じアニメ視聴者でも、視聴時期も人それぞれバラバラだと思います。

それでも、これまでの25年間に一度でも「アニポケ」をみたことがあれば、その人達全員にとって変わらない唯一共通の視聴体験であったのが、サトシとピカチュウの物語である、ということだったのです。

そのため今回の発表にも、長寿番組の声優交代ともまた違った大きな衝撃が走りましたし、そうした反響も踏まえて、主人公交代に際して番組からメッセージが発表されたり、交代前に特別なエピソードが用意されるという、これまた珍しい展開が取られたのだと思います。

アニメ史的にもなかなか類をみない今回の主人公交代は、果たしてその後の「アニポケ」がどう展開していくのか(サトシはもちろん、アニメ以外の展開でも中心的に活躍してきたピカチュウの動き)も含め、なかなか先の読めない出来事です。

それだけ大事(おおごと)である主人公交代に向け、サトシがこれまで目指してきた“ポケモンマスター”という見果てぬ夢に向かっていく姿が描かれる「ポケットモンスター めざせポケモンマスター」。

長年アニメから離れていた人も、実は一度もみたことがなかったという人にとっても、今夜から放送される残り全11話の物語とその行く末は、リアルタイムで一緒に見守るに値する出来事だと思います。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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