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「チェンソーマン」「うる星やつら」話題のOPを手掛けたのはあの映像の方!奥深いアニメOP/EDの世界

小新井涼アニメウォッチャー
(提供:イメージマート)

アニメに欠かすことのできない、重要なパートであるOPやED。

魅力的な主題歌に合わせて展開される映像には、約90秒の中に物語の要素がぎゅっと濃縮されていて、しばしばそれ単体でも高い評価を受けることがあります。

それもそのはず。実は見逃されがちでもありますが、アニメのOPやEDには、アニメ本編の座組とはまた別の、著名なクリエイターの方々が参加していることが少なくないのです。

放送開始と共に既に国内外で話題の「チェンソーマン」のOPも、恐らく多くの方が代表作をご存知の、とある方が手掛けています。一体どんな方なのでしょうか。

■とても贅沢な約90秒

そもそもアニメのOPやEDの映像は、作品を手掛けるスタッフ陣や制作スタジオが、全て本編と同様に制作していると思っている方も少なくないかもしれません。

もちろん、その通りメインスタッフの方々が、本編と同様にOPやEDの制作に携わっている作品も沢山あります。

しかし、中にはよくよくみると驚きの、他の作品でシリーズ監督等を務めるような方々が、OPやEDの演出等でさり気なく参加している作品も少なくないのです。

最近の例でいうと、同じく秋クールアニメの「SPY×FAMILY」第2クールもそれにあたります。

OPの絵コンテ・演出を務めたのは「DEATH NOTE」や「進撃の巨人Season1~3」の監督などでもお馴染みの荒木哲郎氏、EDの絵コンテ・演出などを務めたのは「GOD EATER」や劇場版アニメ「映画大好きポンポさん」の監督などでもお馴染みの平尾隆之氏。

本編から既に豪華な座組の本作ですが、実はOPやEDだけでもこれだけ名だたるクリエイターの方々が携わっているのです。

そんな他作でシリーズ監督等を務める方々が、各話演出ともまた違い、たった90秒の中でどのように作品世界を描いているのかと考えながら視聴してみると、ただでさえ魅力的に思っていたOPやEDの映像を、より味わい深く楽しむこともできると思います。

■話題の「チェンソーマン」OPを手掛けたのは…

美しい映像に加え、作品の世界観を汲み取り様々な映画のパロディが詰め込まれていることで、早速考察も飛び交い話題の「チェンソーマン」OP。

こちらの絵コンテ・演出を務めたのも、恐らく皆さんも良く知る映像を数多く手掛けてきた山下清悟氏です。

たとえば、シリーズ監督を務められた作品には「ポケットモンスター ソード・シールド」オリジナルアニメ「薄明の翼」があります。

「ポケモン」シリーズ屈指の人気タイトルが、透明感のある画面や迫力のカメラワーク等と共に映像化された本作を知る人は、これだけでも「チェンソーマン」OPを手掛ける方と同じであることに深く頷かれるのではないでしょうか。

しかしこの山下氏、実はシリーズ作品だけでなく、特にここ最近手掛けられてきたOPの数々が、以下の通り錚々たるラインナップとなっています。

  • 「王様ランキング」2クール目OP(絵コンテ・演出・撮影監督・編集)
  • ※上記はYouTubeではなくTwitter上で視聴可能

いくつか挙げさせていただきましたが、映像をみたことがある方は、その吸い込まれるような映像美や、美しいだけじゃなく1カットずつ分析したくなるくらい作品ファンにはたまらない演出に、思わず魅了されたことではないでしょうか。

更には、「チェンソーマン」と同じく今期放送開始と共に早速話題になっている「うる星やつら」のOPを手掛けているのも、実はこの山下氏です。

もちろん、本編と同じくアニメは基本的に集団制作なので、監督だけでなく関わる全ての人々による映像であることは踏まえつつも、個人的な体感としても、ここ2年ほど『すごいOPがいつも山下氏!』と流石に驚くほどのご活躍ぶり。

「チェンソーマン」や「うる星やつら」のOPもこれだけ話題になっていることから、今後生み出されていく映像にも注目が集まっていくクリエイターの一人と言えるでしょう。

■アニメOP/EDの奥深い世界

アニメのOPやEDの奥深さは、単に著名なクリエイターの方が様々な作品に参加されているだけではありません。

他にも、例えば「チェンソーマン」と同じMAPPA繋がりでは、「ユーリ!!! on ICE」ED絵コンテ・演出等の林祐一郎氏が次に監督を務めた「賭ケグルイ」1クール目のOP絵コンテを、今度は逆に「ユーリ!!! on ICE」の監督・山本沙代氏が務める…といった別作品間のちょっとした繋がりを発見できることもあります。

また、約90秒の映像制作ということで、「呪術廻戦」1クール目EDを演出した長添雅嗣氏のようなアニメ以外の映像制作もされてきた方や、「ドラえもん」の現OP等を手掛ける10GAUGEのように“絵を描く”以外のアプローチで印象的な映像を生み出すスタジオなど、普段約30分のシリーズ本編を制作している方々とはまた違ったクリエイターやスタジオが携わる、斬新な映像に出会えるのも魅力のひとつです。

実は本編に負けないくらい多彩な方々が携わっているがゆえに、それ単体で何度もみ返したくなる魅力を放つOPやEDの映像達。

普段は飛ばしてしまうという人も多いかもしれませんが、ビビっときた作品に携わる方をチェックしてみると、実は見知ったクリエイターの名前を発見したり、お気に入りの映像に思わぬ共通点があるのに気づくこともあるかもしれません。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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